Count Basie & Joe Williams - Memories Ad-lib(1959)
カウントベイシーというとビッグバンドのリーダーでピアニスト、出しているアルバムは多すぎて(オスカーピーターソン、MJQも同様)何から聞いていいかわからないイメージが強いですが本作ではベイシーのオルガン+リズムセクション(曲によってはトランペットも)にボーカルというスモールコンボでの演奏になります。ベイシーの本業の人のそれとも違うコクのあるオルガンはファッツウォーラー譲りで選曲にもファッツへのリスペクトを感じます。シンプルながらもスウィンギーなリズムはアフターアワーズの雰囲気が色濃く、ジョーウィリアムズのコクがある洒落た歌は聴けば聴くほど良さがしみわたってくる一枚です。
カウントベイシー:オルガン
ジョーウィリアムズ:ボーカル
ジョージディヴィヴィエ:ベース
ジミークロフォード:ドラム
フレディグリーン:ギター
ハリー"スウィーツ"エディソン:トランペット
Ain't Misbhavin'
コクのあるオルガンと声が印象的なバラードナンバー。
I'll Always Be In Love With You
スウィンギーなリズムが洒落たミディアムナンバー。フレディグリーンのギターも効いています。
Sweet Sue, Just You
ブルースフィーリングの濃いオルガンがかっこいい曲。後のソウルジャズとは違うコクがたまらないです。
If I Could Be With You
ジョーウィリアムズのコクのあるボーカルがたまらない曲。トランペットが入りますがミュートプレイもまたたまらないです。
Dinah
ジョーの滑らかな歌唱が印象的な曲。個人的にはジュニアパーカーに歌いかたや声が似ている気がします。ベイシーのコッテリしたオルガンもソウルフルです。
Sometimes Happy
ジョニーハートマンも歌った曲です。ジョニーと比べると一本調子ですが不思議とそんな歌い方からブルースを感じます。再びトランペットが入りますがテクよりフィーリング重視のいいソロです。
Baby Won't You Come Home
タイトルからいかにもブルースといった感じの曲です。控えめの演奏でジョーの歌を全面に押し出した一曲です。
Call Me Darling
ジョーの優しい歌い方が印象的な一曲。ベースとギターをメインにしたシンプルな演奏です。音数が少ないとフレディグリーンのギターをじっくり楽しめます。
The One I Love Belongs To Somebody Else
スウィンギーな歌いかたとフレディのギターソロがかっこいい曲。その音楽家としての人生のほぼ全てをベイシー楽団でリズムを刻むことに捧げただけあってシンプルながらも惹かれるものがあります。
Memories Of You
このアルバムの中で一番好きな曲です。倍音やロングトーンを交えたオルガンソロがたまりません。
Honeysukle Rose
スウィンギーなオルガンがかっこいい曲。
All Of Me
フレディグリーンを中心にしたリズム隊のみのイントロが印象的な曲。オルガンソロに関してはジミースミスのようなフレージングでオルガン奏者としてのポテンシャルを感じます。
コネクション:スミス以前のオルガン
ファッツウォーラ―がジャズにオルガンを持ち込み、それを聞いたカウントベイシーもウォーラーから教えを受けます。そのあとミルトバックナーやビルドゲッドがオルガンを使い始め、ビルのHonky TonkはジャズオルガンをロックンロールやR&Bに繋げました。ここら辺まではオルガンならではの奏法ではなくピアノをそのまま置き換えたものであったうえにビバップには対応していませんでしたがジミースミスがオルガンの特性をフルに生かしたビバップ奏法を確立。ジミースミスが一世でオルガンの全てを作り上げたように言われますが実際にはウォーラーが組んだ土台にドゲッドが骨組みを組み、スミスが完成させたといった方が近いかもしれません。スミス本人はオルガンのボスという世間の見方にややプレッシャーを感じていたそうでラリーヤングがモードやフリーを取り込んでその先にいったことでやっと肩の荷が下りたそうです