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Les McCann - Never A Dull Moment! Live From Coast To Coast(1966,1967)
本作はレスマッキャンの66年シアトルでのライブと67年ニューヨークでのライブをまとめたもの。構成的には2枚組のライブインシアトルと1枚組のライブインニューヨークをカップリングしたような感じ。生産は最近いい音源を多く発掘しているレゾナンスでここの会社らしい愛とリスペクトを感じる丁寧なつくりとなっています。ノラジョーンズがお気に入りとしてこの作品を紹介していたので欲しくなって購入しましたが2時間に渡ってレスとリズムセクションのゴスペル訛り丸出しのアップナンバーと洗練されたバラードの両方を楽しめて想像以上に満足できました。ファンキーなピアノトリオ好き全員におすすめしたい一枚です。リリースは2024年のRSDですが生産はそれ以前から行われていたようで、亡くなったメンバーたちに捧げるとありますが、同年の1月2日に訃報が発表されたレスの名前はありません。発表前に刷ってしまっていたのでしょう。もう一年がたつと思うとなんだかさみしくなってしまいます。
メンバー
レスマッキャン:ピアノ
ポールハンフリー(1966)、トニーベイズリー(1966,1963)フランクセベリーノ(1967):ドラム
スタンリーギルバート(1966)、ヴィクターガスキン(1963)、リロイヴィネガー(1967):ベース
![](https://assets.st-note.com/img/1735812986-tpuC9mL07W5iPJsNGMhYHqlw.jpg?width=1200)
Blue'n Boogie
ディジーガレスピーの曲で軽快にスウィングしながら飛ばします。ポールハンフリーのスネアやシンバルをメインにしたキレのいいドラムが心地よいです。
Could Be
レス作。ブルースやゴスペルからの影響が色濃いですが、端正なタッチのバラードにしています。
The Grabber
レーベルメイトでリズムセクションを共有していたピアニストのモンティアレキサンダーの作品。高い音をコロコロ転がすような演奏が印象的です。調子がでてきたのかレスは唸り声を上げています。
Yours Is My Heart Alone
端正なバラードナンバー。レスと似たスタイルのピアニストだとジーンハリスやラムゼイルイスがいますが、バラードを演奏するときジーンがブルース丸出しでラムゼイがクラシックの素養を感じさせるのに対して、レスはトミーフラナガンやハンクジョーンズのような端正なタッチなのが個性を感じられ興味深いです。後半にはピアノの弦を直接はじく演奏も聞けます。
The Shampoo
レスの代表曲の最高にソウルフルな一曲。レスのピアノは言わずもがなですが真の主役はポールハンフリー。タンバリンを使った小気味よい軽快なリズムで盛り上げます。当時ラジオ放送されていたらしく途中ラジオDJのアナウンスが入ります。
Wait For It
ラテン調のリズムが効いたブルースナンバー。コクのあるタッチのピアノがたまりません。レスも歌とも唸り声ともつかない声を出して楽しそうです。
This Could Be The Start Of Something Big
ポールハンフリーの軽快なドラムがかっこいい一曲。ポールハンフリーというとセッションミュージシャンのイメージが強いですが、63年頃からモンゴメリーブラザーズ(ウェスモンゴメリーの兄弟が結成したグループ)、レス、リチャード”グルーヴ”ホルムズ等西海岸のブルース、ソウルジャズ系の作品でそのソウルフルなドラミングを披露しています。
Out In The Outhouse
弾むようなピアノとドラムが楽しいハッピーなソウルジャズナンバー。
A Night In Tunisia
グルーヴィなベースがかっこいい一曲。レスのグループはレスの左手とドラマーが目立つリズムを作って、ベースは裏でひっそりと支えるスタイルが多いのでここまでずんずん響くのは珍しい気がします。
Da-Da
リズムをそのままタイトルにしたような曲。ダダというリズムに乗ってポールのカウベルとピアノがどんちゃん騒ぎをするソウルジャズナンバー。ドラムソロもかっこいいです。
Lavande
ここからはドラムがポールからトニーベイズリーに交代します。ドラムが変わったからかベースが力強くなり、ピアノのアドリブのフレーズも端正なものに変わっています。
There Will Nevier Be Another You
ストレートアヘッドなバラードナンバー。
(Back Home Again In) Indiana
これだけ63年の録音でベースはヴィクターガスキン。スウィンギーなタッチのピアノが楽しい一曲です。
![](https://assets.st-note.com/img/1735813029-U4LHEIjmJ71PuKopZsl9dFTA.jpg?width=1200)
Love For Sale
グルーヴィなバラードナンバー。こんなグルーヴィなLove For Sale滅多に聴けません。
I Can Dig It
軽快なノリが楽しいソウルジャズナンバー。西海岸の名手と言われたリロイヴィネガーのベースソロもどっしりとしたウォーキングベースです。
Doin' That Thing
リロイ作でファンキーながらもエキゾチックなメロディが印象的です。Goin' Out Of My Head やWade In Water のフレーズも少し出てきます。
I Am In Love
ロマンティックなイントロから始まりリズミカルな演奏に変わりますがウォーキングベースと唸り声が、熱のこもった演奏であることをより実感させてくれます。
Goin' Out Of My Head
当時の最新ヒット曲をバラードでカバー。比較的素直な演奏です。
Sunny
こちらも当時最新のヒット曲。ですがかなりメロディを崩しアドリブ多めで言われなければ気が付かないと思います。
Blues 5
レス作でタイトル通りブルース的な一曲。タイトルからしてなんのひねりもない曲ですがだからこそレスのいいフィーリングにあふれた演奏が楽しめます。
The Shampoo
1分半の短い演奏。バンドメンバーや観客の声や拍手が大きく楽しんでる雰囲気が伝わってきます。またポールとフランクセベリーノのドラムのタッチのわずかな違いも興味深いです。
コネクション:ノラジョーンズが選んだアルバム
アメリカのレコードショップ「アメーバミュージック」の公式チャンネルの企画What's in My Bagは以下の通り。ジャズボーカルやピアノを弾く人の作品が多くていかにも彼女らしいチョイスです。下にYouTubeのリンクを貼っておきます。
Emahoy Tsege Mariam Gebru - Spielt Eigene Kompositionen (LP)
Blossom Dearie - Blossom Dearie (LP)
Brittany Howard - What Now (LP)
Stevie Wonder - Talking Book (LP)
Les McCann - Never A Dull Moment! Live From Coast To Coast 1966-1967 (LP)
R.E.M. - Out Of Time (LP)
Dolly Parton - Jolene (LP)
Tony Bennett & Bill Evans - The Tony Bennett/Bill Evans Album (LP)