Astrud Gilberto & Stanley Turrentine. Gilberto with Turrentine (1971)
ボサノヴァシンガーのアストラッドジルベルト。彼女のアルバムはほとんどがストリングスを使ったイージーリスニング。一方のスタンリータレンタインはブルーノートに男臭いソウルフルなジャズを数多く吹き込んできたサックス奏者。スタイルが異なりすぎて合わなそうな2人を共演させたのはおそらくクリードテイラーはかつて自分が制作しヒットさせたゲッツ/ジルベルトの二枚目を期待したからではないでしょうか。ヒット、セールス的にはゲッツ/ジルベルトには及びませんが内容はどちらもよく合わせて聞くとジャズのサウンドの変化やブラジル音楽に対する意識の変化が見えてきます。
メンバー
アストラッドジルベルト:ボーカル(英語、ポルトガル語、スペイン語)
スタンリータレンタイン:サックス
デオダート:エレピ、アレンジ
サムブラウン、ボブマン、シブーカ:ギター
ロンカーター、ラッセルジョージ:ベース
アイアートモレイラ、ドンウンロマン、ジョアンパルマ、デニスシーウェル:ドラム、パーカッション
トゥーツシールマン:ハーモニカ
ヒューバートロウズ:フルート
他
Wanting things
バートバカラック作のポップナンバー。ヴァーブ時代のようなストリングスを多用したイージーリスニングですが後半の伴奏はアップテンポでブラジルのリズムを使っていてかっこいいです。
Brazillan tapestry
第一期RTFをよりファンキーにしたようなリズミカルかつ美しいメロディの曲。この曲からスタンリーが登場。スタンゲッツを思わせる豪快ながらもメロディアスでどこか柔らかいタッチのソロを聴かせてくれます。作曲、アレンジはデオダートです。
To a flame
ストリングスとギターがソロをとる柔らかくもグルーヴィなインストナンバー。
Solo el fin (for all we know)
フォーキーなポップナンバー。ジャズギターのソロが気持ちいいです。
Zazueira
サンバのリズムを使ったブラジリアンファンクナンバー。スタンリーもリズムに合わせて軽快にソロを吹いています。
Ponteio
硬質なリズムが印象的なボサノヴァですがベースやサックスはジャズのそれでボサノヴァといっても牧歌的だったりイージーリスニング的なものとは明らかに違うサウンドを持っています。ハーモニカはトゥーツですが彼のハーモニカはすぐにそれと分かります。
Traveling light
ブラジル風のリズムを使ったファンキーなナンバー。速弾きされるエレピがかっこいいです。
Vera cruz
ミルトンナシメントの曲。スタンリーが得意とするソウルジャズっぽい曲調ですが同時期のブラジル音楽にも通じる躍動感あるリズムがかっこいいです。
Historia de amor
ヴァーブ時代のような豪華なストリングスをバックにした影のある切ないメロディのナンバー。後半部分にストリングスがいなくなってグルーヴィなリズムをバックにギターソロが入りますがこれがめちゃくちゃかっこいいです。
Where there a heartache
ポップな可愛らしいメロディのナンバー。これもバートバカラックの曲です。
ここからはボーナストラックです
Just be you
口笛が印象的なポップナンバー。この口笛はトゥーツのはず。彼のハーモニカはもちろんですが口笛も聴いていてホッとする音色です。本業のギターはあまり話題になりませんがキレのある音色でかっこいいです。
The puppy song
フォーキーなボサノヴァナンバー。ソフトロックのコンピ盤やプレイリストに入れた方がしっくりきそうなサウンドです。
Polytechnical high
素朴だけどキャッチーなメロディの曲。