Taj Mahal - Music Fuh Ya’(Musica Para Tu)1976
タジ・マハールはブルースミュージシャンとしてキャリアを始めましたがブルースだけに留まらない活動をしました。それ故に黒いライ・クーダーなんていわれることもありますがタジからはライよりも素朴で学術的な印象がありません。旅で例えるならライは現地の言葉や文化を勉強したうえでガイドブックを読み込み、タジはフラッと出かけて現地の人とフィーリングで仲良くなっていくといった感じです。(この作品と代表曲をいくつか聴いただけなのでタジの中でも異色作だったら的外れなことを書いてしまいすみません。)本作ではUSAを飛び出してトリニーダへ。カントリーブルースとカリプソにスティールパンの心地よい音色をミックスしてここに時代らしいグルーヴを少しだけ。できれば暑い季節に涼しい風に当たりながら聴きたい心地よい一枚ですがメルトーメが夏の暑さに耐えかねて寒いクリスマスを思い浮かべながらいい曲を書いたように寒いこの時期に心地よい季節を思い出しながら聴くのもまたいいものです。最後にジャケに触れるとなぜかこのアルバムでは使っていないドブロを抱えています。
タジマハール:アコースティックギター、ボーカル、マンドリン、ハーモニカ、バンジョー
ルディコスタ:アルト、テナー、テナーサックスベース、アルトクラリネット、フルート、カリンバ、サクセロ、ピアノ
ケスタースミス:ドラム、パーカッション
ラリーマクドナルド:コンガ、パーカッション、ピアノ
クワシディズズルヌーパー:コンガ、パーカッション
ロバートグリニッジ:スティールパン
レイフィッツパトリック:ベース、アコースティックギター、パーカッション
ビスマルクフランコjr:ティンバレス、
You Got It
拍手とベースのグルーヴとスティールパンの音色が心地よい曲。タジのスモーキーなボーカルが演奏とマッチしています。
Freight Train
エリザベスコットンが書いたブルースでタジはブルースらしい汽車の音色を真似たハーモニカを披露しているもののカラッとしたカリビアンなサウンドにアレンジしています。話が脱線する上に長いので省きますがエリザベスコットンはとても面白い経歴を持った人物です。Wikipediaでも比較的正確な情報が読めるのでそちらも併せて読んでみてください。
Baby, You’re My Destiny
トロピカルで気怠い曲。ホーンとスティールパンがいい味を出しています。
Saillin’ Into Walker’s Cay
ブルース感のない陽気なカリプソナンバーで楽しい曲です。釣りについての歌でリッチーヘブンスやパーシーヒースの名前も出て来ます。釣り好きなんでしょうか?
Truck Driver’s Two-Step
アメリカの地名がたくさん出てくるカントリーブルースナンバー。ただベースラインやコーラスなんかは76年に合わせた感じでさらにフルートやスティールパンが風通しをよくしているので人を選ぶディープさはあまりありません。
The Four Mills Brothers
ギター一本と4人のコーラスだけでバンドをバックに歌うようなパフォーマンスで有名なミルスブラザーズについて歌った曲。他にもキャブキャロウェイやルイアームストロングも登場しています。でも1番はミルスブラザーズのようです。オリジナルはヴァンダイクパークスです。彼もまたスティールパンに魅了された1人でエッソトリニーダスティールバンドというとても良いグループの同名作をプロデュースしている他自身の「ディスカバーアメリカ」にもこの曲を収録しています。そちらも聴いてみましたがあれやこれや詰め込みすぎてやりすぎて何がしたいのか分かりにくいサウンドでした。(リトルフィートのセイリンシューズを室内楽みたいな上品なコーラスとストリングスで演奏したのが特に意味不明でした。)悪口みたいになってしまいましたが僕に合わなかったというだけで評価の高い良いアルバムではあります。
Honey Baby
哀愁漂うバラードナンバー。アメリカ南部からトリニーダ(スティールパン)、ジャマイカ(レゲエ調のリズム)、アフリカ(カリンバ)と国際色豊かな一曲です。
Curry
歌詞はCurryだけのほぼインストナンバー。ミニマルなオルガンをベースにトロピカルで楽しくも実験的なサウンドです。カレーが食べたくなるし、カレーを食べるとこれが聴きたくなります。