Eric Gale - Ron Cater Presents In A Jazz Traditional (1987)
StuffやCTIの諸作、ロバータフラック、ヴァンマッコイ等フュージョンやソウル系のセッションミュージシャンのイメージが強いエリックゲイルですが実際にはジョンコルトレーンとの交流があったり活動初期にはブルース色の強いジャズの録音に参加したりとハードバップの素養のあるギタリストです。そんな彼がロンカーターと組みブルース色の強いハードバップをプレイしたのが本作です。タイトルを見れば分かるようにロンがメンバーの選定や選曲を行なったようです。50年代後半のブルース色の強いコッテリとしたジャズが楽しめる一枚です。
メンバー
エリックゲイル:ギター
ロンカーター:ベース
ヒューストンパーソン:テナーサックス
ドクターロニースミス:オルガン
グラディテイト:ドラム
Eric’s Gale
エリック作のブルースナンバー。実は50年代の発掘音源ではと思わせるソウルフルなリズムや熱々のサックスが最高にかっこいいです。アドリブはホンカー顔負けの熱いサックスからスリリングなギター、スウィンギーで小粋なオルガンと続きサックスとギターのめちゃくちゃかっこいいユニゾンで終わります。自分でもかっこいいを多用しすぎている気がしますがこれはライブアルバムで観客がRight OnやYeah!を連呼しているようなものだと思って許してください
If You Could See Me Now
タッドダメロンのカバー。ピンと張り詰めたようなギターとロングトーンのオルガンが濃厚なブルースフィーリングを作り出しています。そしてヒューストンのどこかいなたくも歌うようなサックスソロが始まります。スタイル的にも時代的にもメイシオパーカーをもっとブルージーにした感じでまた1人好きなミュージシャンが増えました。
Bloomdido
チャーリーパーカーのカバー。ライナーではロンがエリックのアドリブを絶賛しています。ヒューストンはソウル度を少し落とした変わりにバップ的なフレーズを吹いています。ロニーのアドリブは初期のジミースミスのようなピアノのようなバップフレーズを軽く弾いています。
Lover Man
ブルージーなバラードナンバー。ヒューストンの演奏がとても美しい他、ギターやオルガンの絶妙な伴奏も聴きどころ。そして裏方に徹してきたロンもここでは得意のトーンを多用したドープなベースを披露しています。
Jordu
ラテン調のアップテンポなバップナンバー。二菅ホーンのようなサックスとギターの掛け合いや長いソロ回し(特にオルガンとドラムのソロ交換)が印象的です。
Loose Change
少し不思議なリフやメロディを持つブルースナンバー。
Blues For Everybudy
グルーヴィなベースソロから始まる重ためのブルースナンバー。ブルース色の強い曲が多く収録されたアルバムの最後にありがちなアフターアワーズな黄昏感もあり聴いた後の満足度を高めてくれます。