Chris Connor Sings - The George Gershwin Almanac Of Song
ジョージガーシュウィンといえばジャズには欠かせない作曲家の1人であり全てを彼の曲で揃えたアルバムも数多くあります。本作はクリスをはじめアトランティックの重役であるアーティガン兄弟にジェリーウェクスラーの4人がやるなら代表作を全て網羅した思い切った大作にしたいと意見が一致したことから3人のアレンジャーと30人近いミュージシャンを集め5ヶ月をかけて録音して、それをガーシュウィンの伝記やミュージカルの写真付きのジャケットに入れられたLP2枚に作曲された順に曲を並べるという力の入った企画です。丁寧な作りのアルバムが好きな人、ガーシュウィンの曲をまとめて聴きたい人、クリスコナーが好きな人全員におすすめできる一枚です。僕が持っているのは1972年に日本のワーナーがリリースしたバージョンですがライナーのミュージシャン、曲数がめちゃくちゃなうえに誤記が多いので参照時は注意してください。下に載せたものは正しいものです。
メンバー
1(6、11〜15、18)
ジョーニューマン:トランペット アルコーン:テナーサックス エディコスタ:ヴァイブ
ラルフシャノン:ピアノ、編曲 ミルトヒントン:ベース ジョニーロドリゲス:ボンゴ
オシージョンソン:ドラム
2(19、21、23、30)
ハービーマン:フルート ラルフシャノン:ピアノ、チェレスタ、編曲 バリーガルブレイス:ギター オスカーペティフォード:ベース ロニーフリー:ドラム
3(8、20、22)
ラルフシャノン:ピアノ、編曲 オスカーペティフォード:ベース、語り オシージョンソン:ドラム
4(17、25、27)
ハービーマン:フルート サムモスト、ピーナッツハッコー:クラリネット ラルフシャノン:ピアノ、チェレスタ、編曲 ジョーピューマ:ギター ウィニーバーク:ベース オシージョンソン
5(3、7、9、29)
ジミークリーブランド:トロンボーン、編曲 ジムトンプソン、ウォーレンコヴィングトン:トロンボーン
エディワイサーマン:テナーサックス、バスクラリネット ハンクジョーンズ:ピアノ
バリーガルブレイス:ギター ワンデルマーシャル:ベース エドショーネシー:ドラム
レイエリス:編曲
6(2、4、28)
ドクセベリンセン:トランペット エディバード:トロンボーン アルコーン:テナーサックス ダニーバンク:バリトンサックス スタンフリー:ピアノ マンデルロウ:ギター
ワンデルマーシャル:ベース エドショーネシー:ドラム レイエリス:編曲
7(1、10、26)
ミルトジャクソン:ヴァイブ スタンフリー:ピアノ マンデルロウ:ギター ミルトヒントン:ベース エドショーネシー:ドラム スタンフリー:編曲
これだけのメンバーを揃えるなんてかなり気合が入っています。僕もDiscogs見てねでリンク貼るだけにしようかと思いましたが敬意を払って気合を入れて書きました。
1 Somebody Loves Me(1924)
ピアノトリオにギターとヴァイブという編成によるスウィンギーな演奏に合わせてハスキーかつ伸びやかに歌っています。
2 Fascinating Rhymn(1924)
ラテン調の怪しげなリズムに合わせて低い声で歌うのパートと歌、演奏ともにスウィンギーかつ伸びやかなパートからなる曲
3 Little Jazz Bird(1924)
ジャズを聴いた鳥が仲間にジャズを教えるという歌詞がユーモラスな曲。少し気取った歌い方やノスタルジックなアレンジが歌詞によくあっていて良い編曲だと思います。余談ですが僕のここでの名前はこの曲が由来です
4 That Certinm Feeling(1925)
マイペースにサックスソロが面白い曲。最後のサックスとそれ以外のホーンを分けたアレンジが印象的です。
5 Man I Love
多くのミュージシャンにカバーされた曲ですが元はミュージカルのために書かれたもの。ただし受けが良くないため打ち切られ、別のミュージカルに転用されるもこれも打ち切られさらに別のミュージカルに転用しようとするもボツになったもののロンドンで人気となりアメリカに逆輸入され定着したそうです。
6 Looking For A Boy
チェレスタだけをバックにささやくように歌う出だしがセンチメンタルでその後もフルバンドの演奏になりますが変わらずセンチメンタルな歌い方でそのフィーリングに寄り添うような演奏もとても良いです。
7 Clap Your Hand
スローテンポの入りからはつらつとした演奏と歌い方に変わりますがこの部分がとてもスウィンギーで聞いていて楽しいです。
8 ‘S Wonderful
多くのミュージシャンが演奏している曲ですが多くの演奏とは違い‘S Wondeul ‘S Marvelasの前の普通はカットされてしまっているヴァースから歌い始めています。
9 My One And Only
落ち着いたシンプルなアレンジで中盤のトロンボーンソロが印象的です。
10 How Long This Been Going On
落ち着いた演奏が印象的なバラードナンバー。長めのピアノソロも入ってこのアルバムでは少し異色の編曲です。
11 Liza
トランペットやヴァイブによる明るい音が印象的な一曲。
12 I’ve Got A Crush On You (1930)
気だるげでヴィブラートを活かした歌い方が印象的なバラードナンバー。
13 Strike Up The Band (1930)
マーチングバンド風のイントロが印象的な曲。ボンゴも入りグルーヴィな演奏がかっこいいです。
14 Soon (1930)
ブロードウェイ的なノスタルジックな編曲が印象的な一曲
15 I Got Rhythm (1930)
タイトル通りコンガやカウベル?を使ったリズミカルな演奏が楽しいラテンジャズナンバー
16 Embraceable You(1930)
エコーがかかったようなヴァイブは音が印象的なバラードナンバー。
17 Bla Bla Bla(1931)
ギターとピアノの端正な響きとハスキーにささやくような歌い方が印象的なバラードとパーカッシブなアップテンポなパートを繰り返す曲
18 Of Thee I Sing (1931)
アップテンポのほんのりラテン調の演奏が楽しい一曲
19 Love Is The Sweeping The Country(1931)
飛ぶようなフルートの音色が印象的なメルヘンな演奏が楽しい曲でソロパートのフルートとギターのやりとりが面白いです。
20 Medley From “Porgy And Bess” (1935)
a) Summertime
気だるい歌い方が夏の昼を思わせるとても良い演奏です。
b) There’s Boat That’s Leaving Soon For New York
グルーヴィなピアノトリオをバックに気取った歌い方がとても良いです
c) I Love You Porgy
気だるい歌い方に戻りますが切ない演奏をバックにすることでサマータイムとは異なった印象を受けます
21 I’ve Got Beginner’s Luck (1937)
グルーヴィなリズムとクールジャズ的なギターとフルートの組み合わせの演奏が楽しい曲
22 A Forgy Day (1937)
スローテンポのバラードナンバー。クリスのバラードでの歌はとても好きです。
23 Slap Bass (1937)
タイトル通りベースが活躍する曲。スラップベースというとラリーグラハムやルイスジョンソン等の奏法を思い浮かべますが表現としてはもっと前からあったというのは興味深いです。
24 They Can’t Take Away From Me (1937)
クラリネットを使った優雅なアレンジが好きな曲。鬼気迫るアドリブの応酬やブルージーな曲もいいですがこういう上品なスウィングもまた違った良さがあります。
25 I Can’t Be Bothered Now (1937)
ハードバップ的な演奏の一曲。バラエティ豊かな演奏は複数のアレンジャーとグループによる演奏だからこそです。
26 Nice Work If You Can Get It (1937)
この曲もクラリネットと古風なスウィングが楽しい曲
27 Love Is Here To Stay(1938)
ビッグバンドでも少しモダンなアレンジによる曲。
28 Love Walked In (1938)
ハスキーで切なげな歌が印象的なバラードナンバー。ミルトジャクソンのソロもシンプルながらもとてもいいです。
29 I Was Doing All Right (1938)
中音域のパンチのあるホーンがモダンな印象の曲。ソロの入り方もモダンなビッグバンド的な雰囲気です。
30 For You , For Me, For Evermore
ジョージが書いた未発表の曲に46年に兄で作詞家のアイラが歌詞をつけて発表したもの。アルバムの最後を締め括るのに相応しいしっとりとしたバラードナンバーです。
コネクション:ケントンガールズ
クリスコナーは西海岸を代表するビッグバンドの一つスタンケントン楽団の出身でアニタオデイやジューンクリスティも同楽団の出身で3人合わせてケントンガールズというらしいです。