Ramsey Lewis - Golden Hits(1973)
本作はラムゼイルイスのベスト盤です。ただし一つ疑問が。本作に収録された曲を吹き込んだチェスやアーゴ(カデット)はCBSとは一切関係ないはずなのになぜ?そんな疑問をもちつつ針を落とすと驚いたことに再録盤でした。しかも単なる安易な再録ではなく電気楽器をふんだんに使った当時最新の最高にファンキーな演奏です。当時結構売れたようでレコード店ではThe In Crowdの次によく見る気がします。ちなみにCBSのベスト盤シリーズのシルバーディスクにもラインナップされており銀の縁どりに背景が金色でポスター付属の豪華な仕様もあります。
スチームパンクな楽器+レコード工場+飛行機の謎機械もしっかり特徴を捉えたマンガチックな3人の顔もポップな感じで好きです。
メンバー
ラムゼイルイス:エレピ、アコースティックピアノ、クラヴィネット
クリーブランドイートン:アコースティックベース
モーリスジェニングス:ドラム
Hang On sloopy
クラヴィネットのぐしゃぐしゃしたリズムが最新の(当時)ファンキーなフィーリングにあふれていますがアコースティックピアノのフレーズはオリジナルと変わりません。ファンキージャズとファンクというと別種の音楽といった印象がありますがこれを聴くと根っこは同じものだと感じます。
Blues For Night Owl
アフターアワーズ風のスローテンポのブルースナンバー。ワウをオンオフしつつ弾くエレピとアコピの両方を使い分けるメロディや合いの手をいれるクラヴィネット等器用さが感じられます。
Hi-Heel Sneakers
ワウを踏んだエレピを使いアコースティックピアノにバトンタッチする構成が面白い一曲。ワウを踏んだアコースティックベースのアルコのシンセサイザーのような音も面白いです。アルコを電化してエフェクターと組み合わせることでシンセサイザーのような音にする演奏はウェザーリポートのミロスラフヴィトウィス(名前がなかなか覚えられない)もファズやディストーションで似たようなことをしていましたがトレンドだったのでしょうか。
Carmen
フランスの作曲家ジョルジュビゼーの曲でクラシックを学んだラムゼイらしい選曲です。アコースティックベースを電気で増幅してトーキングドラムのような音を作っているのが印象的です。アドリブ部分では電化せずストレートなウォーキングベースも披露しています。
Delilah
エレピの音色を活かした美しい演奏から始まりますがリズムが入ると一転してファンキーな演奏に変わります。このアルバムの多くの曲は電気楽器を使うと同時に演奏も新しさを取り入れていましたがこの曲は演奏は昔と変わらないタッチです。
Wade In The Water
アコピの力強いタッチの演奏がかっこいい一曲。トークボックス?のような声が入っています。
Slipping Into Darkness
唯一のCBS時代のアルバムからの選曲でオリジナルはウォー。拍手やパーカッションも使ったラテン調のファンクナンバーです
Somethin' You Got
この曲もアコピでの演奏で60sっぽい演奏ですがドラムは70s風のファンキーな演奏です。
The "In" Crowd
最後にヒット曲を持ってくる構成が憎いです笑。オリジナルよりもテンポを上げたりクラヴィネットで合いの手を入れたりと単なる再録になってはいません。
コネクション:クリーブランドイートン
本作と同じ年にクリーブランドイートンも初のソロアルバムをリリースしています。ここでもSlipping Into Darknessをカバーしています。長尺なうえにホーンも入ってラムゼイ版とは全く違うアレンジなのが面白いです。