Eddie Harris - Plug Me In (1968)
ムードミュージックからハードバップ、ジャズファンクと幅広い音楽性を持つサックス奏者のエディハリス。彼は60年代後半からヴァリトーンというエレキサックスを手にします。これはアンプを通したサウンドと生音をダブらせたサックスでネットで写真を見れば分かりますが機能美に溢れたサックスに雑に配線とスイッチボックスを取り付けた見た目はあまり良くないように見えます。ただどこかスチームパンクに通ずるものがあって最近これはこれでありかもと思うようになってきました。
エディハリス:ヴァリトーンサックス?(エレキサックス)
ヘイウッドヘンリー:バリトンサックス
ジミーオーウェンス、メルヴィンラスティ、ジョーニューマン、ジェームズボッシー:トランペット
トムマッキントッシュ、ガーネットブラウン:トロンボーン
ジョディクリスチャン:ピアノ
メルヴィンジャクソン、ロンカーター:ウッドベース
チャックレイニー:エレベ
リチャードスミス、グラディテイト:ドラム
Live Right Now
ヴァリトーンの太くふやけたトーンのサックスがシンガーのようにメロディを奏でます。ドンコヴェイやアレサフランクリンが歌ったChain Of Fools に似ていると思います。
It’s Crazy
電気で歪められたサックスのフリークトーンがクレイジーな曲です。ずっとパッパッパパァと同じフレーズを繰り返すホーンセクションも奇妙なフリークを盛り上げています。
Ballad (For My Love)
ザラついたトーンのバラードナンバー。生音であればムーディーすぎるアレンジや演奏ですがヴァリトーンのおかげで面白い曲になっています。
Lovely Is Today
イントロの瓶を叩いたような音が印象的な曲。生音多めで映画のテーマのようなテーマやガッツリ電化しながらもフレーズはホンカーのようなアドリブが面白いです。
Theme In Serch Of A T.V Commercial
音圧強めのホーンセクションがかっこいいミディアムナンバー。タンバリン入りのジャズロック調のが印象的です。
Winter Meeting
チャールズステップニーが書いたボサノヴァタッチのリズムを使ったポップな曲。1曲目からここまで27分短すぎます…(去年のベストに選ぶほど好きなのに酷評してしまいました。)
コネクション:ヴァリトーン
使用者はエディの他にもソニースティットやルードナルドソンも使っていますが雑に取り付けられたスイッチボックスの使いにくさやアンプに綺麗な音を送るのにコツが必要なこと、アンプが馬鹿デカくて輸送が大変ということであまり流行りませんでした。マイケルブレッカーもブレッカーブラザーズでこれを使っていますがスイッチボックスは外しています。ジャケットの写真で嬉しそうにヴァリトーンを見せるエディの笑顔がいいですが見て分かる通りスイッチボックスがサックスとは別になっている上にマウスピース周りの配線も微妙に違います。ひょっとしてヴァリトーンとは別のエレキサックスなのかもしれません。試行錯誤を重ねた割には短命に終わってしまいましたがこれの開発ノウハウや電気を使った管楽器をポピュラーにしたことは後の電化サックスやウィンドシンセの礎になったと言えるかもしれません。