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渡辺貞夫-Jazz & Bossa(1967)
バークレーから帰国後すぐに吹き込んだ本作はA面はハードバップ、B面はボサノヴァで占められています。リリース元はタクトという聞いたことのないレーベルですがフィリップスや東芝、ソニーと同じく電気機器メーカーが設立したレーベルで本作が記念すべき第一作になります。話はそれましたが当時の日本のジャズシーンのクオリティの高さがうかがえる一枚です。
メンバー
渡辺貞夫:アルトサックス、フルート
菊池雅章:ピアノ、ヴァイブ
中牟礼貞則:ギター
荻原栄次郎:ベース
富樫雅彦:ドラム
宮田英夫:カバサ
America
帰国後すぐにアメリカ時代を振り返って書いたハードバップナンバー。鮮やかなアルトサックスはもちろん、富樫さんのドラムや菊池さんのピアノのキレのよいプレイも素晴らしいです。
Taboo
ポピュラーなラテンナンバーをハードバップにアレンジした一曲。ラテンの雰囲気を崩さずハードバップに仕上げています。
In The Wee Small Hours
フランクシナトラやジョニーハートマンの歌唱が有名なバラードナンバー。優しい音色のアルトやピアノは聴いていてどこか安心するものがあります。
I Mean You
セロニアスモンクのカバーでどこかユーモラスな曲調のバップナンバーです。
The Theme From "Van Music Break"
当時ナベサダさんがレギュラー出演していたラジオ番組のテーマ。アップテンポの軽快なボサノヴァナンバー。
Raza
エドゥロボのカバー。セルジオメンデスのカバーが有名ですがナベサダさんはアメリカ時代に親しかったゲイリーマクファーランドと共にセルジオメンデスのライブを見たことがブラジル音楽に触れ今までのハードバップ一辺倒から幅広い音楽に目を向けるようになったそうです。そう考えるとセルメンの曲としてカバーしたかもしれません。
Song For Jet
ジョビンの作品でアルトの明るい音色がメロディによくマッチしています。
Felicidade
映画「黒いオルフェ」からの曲で哀愁を帯びたフルートの音色が印象的です。
Cupid's Song
ナベサダさんのオリジナルナンバー。他のボサノヴァよりもジャズ色の濃い一曲です。
Forgive Me If I'm Late
カルロスリラの作品。心地よいリズムと舞うようなフルートがとても美しいです。
Morning Of Carbival
これも黒いオルフェからの曲。中牟礼さんの素朴なタッチのギターが美しいです。