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Lou Rawls - At Last (1989)

ルーも歳を取りました。声もかなり歳を感じる声ですがバリトンボイスなのと喉を酷使する歌い方ではないので衰えたというより若い頃にはなかった深みが加わりまた違った魅力があります。またバックのミュージシャンもゲストミュージシャンも豪華かつルーとの相性がいい人ばかり。ブルーノートのボーカルものではかなり上位にくるクオリティです。プロデューサーはビリーヴェラ。白人ながらR&Bが好きでAt This Momentが1986年に全米1位を記録しています。プロデュースだけでなく共作2曲を含む4曲を提供した他、アレンジャーや本作の録音のために結成されたボーカルグループのルーレッツの一員としてコーラスも担当しています。

メンバー
ルーロウルズ、ダイアンリーヴス(1、3)、レイチャールズ(5):ボーカル
スタンリータレンタイン(1):テナーサックス
デイヴィッド“ファットヘッド”ニューマン:テナー(2)、ソプラノ(4)、アルト(5)
ボビーワトソン:テナーサックス、ホーンアレンジ
ボビーハッチャーソン:ヴァイブ(6、10)
ジョージベンソン:ギター、コーラス(7)
コーネルデュプリー、スティーブカーン(5、7、10):ギター
リチャードティー:ピアノ、オルガン、エレピ
ティンカーバーフィールド:ベース
クリスパーカー:ドラム

At Last
ゴージャスなアレンジが印象的なジャズバラードナンバー。ダイアンリーヴスの堂々としたボーカルが印象的でタレンタインのソウルフルなテナーソロ、リチャードティーの昔と変わらないアコピの音は聴いていて嬉しくなります。

Two Years Of Torture
パーシーメイフィールドの曲でジャズとブルースの中間のような曲はルーの声に一番あった曲調です。この曲でテナーを吹くのはデイヴィッドニューマン。タレンタインに続いてニューマンとは豪華すぎます。ちなみに彼がブルーノートのレコードの吹き込みに参加するのは68年のロニースミスのThink!以来23年ぶりのこと。

Fine Brown Frame
再びダイアンとのデュエット。50年代風のシャッフルビートに乗って軽快に歌うスウィングナンバーです。

Good Intentions
ルーが得意とするブルージーな演奏に合わせて語るように歌うスタイルの曲。ルーもリチャードも昔と変わらないパフォーマンスを聴かせてくれます。

That’s Where It’s At
サムクックの曲をレイチャールズとゴスペルのようにディープに歌っています。器用人のデイヴィッドはテナー、ソプラノときてアルトのソロを披露。スティーブカーンのギターもいいです。若い頃のスティーブはロック風のトーンで無機質に弾き倒すスタイルであまり好きではないですがここではコーネルデュプリーかフィルアップチャーチばりにブルージーでエモーショナルなギターを弾いています。彼もまた良い歳の取り方をしたようです。

If I Were Magician
ナットキングコール風の切なくも堂々としたバラードナンバー。

You Can’t Go Home
この時代らしいアレンジのR&Bナンバー。ジャジーながらもポップなジョージベンソンのギター+スキャットソロがピッタリハマっています。コーラスのルーレッツはルー、ジョージそしてプロデューサーのビリーヴェラの3人です。

Room With View
ローウェルフルソンがビリーヴェラと共作した曲でリチャードのキーボードとコーネルのギターがゴスペルとブルースの両方のフィーリングたっぷりでとても好きです。ホーンセクションもレイチャールズのようなブルースとジャズの中間のようなアレンジで曲の雰囲気によくあっています。

After The Lights Go Down Low
ブルージーなジャズバラードですが少し上品なアレンジで雰囲気が微妙に異なります。

She’s No Lady
シャッフルビートを使った軽快なジャズブルースナンバー。ボビーハッチャーソンがミルトジャクソンのようなブルースフィーリングいっぱいのソロを取ります。ここでもスティーブカーンがいいギターを弾いています。

Oh What A Nite
哀愁漂うソウルナンバー。哀愁漂う落ち着いた序盤から中盤のドラマチックなアレンジや歌い方やその後のデイヴィッドのソロで終わるアレンジがとてもアルバムの最後を締めくくるのにピッタリです。

コネクション:ビリーヴェラ
ビリーヴェラは1966年から活動しているシンガーで既に書いたようにAt This Momentが全米1位になっています。これはドラマに使われたことがきっかけのリバイバルヒットで80年代とは思えないほどアコースティックで繊細なサウンドで気に入りました。他の曲も若干ドラムやキーボードが80年代っぽい音ではありますが本作に通ずるジャジーなR&Bで結構良かったです。