村岡実 - Bamboo(1970)
60年代後半から70年代前半のジャズは怒涛の勢いで進化を重ね、他ジャンルとの融合も進み数々の名盤が生まれた一方でそうなり損ねた怪盤、珍盤の数々が生み出されます。ファンク、イージーリスニング、ジャズロックをA面は和楽器で、B面はソウルやロックよりのバンドをバックに尺八を吹きまくる本作は正に怪盤、珍盤の類。しかしそのクオリティは半端なくそういったくくりに入れてしまうのは惜しいくらい。最新の音を研究しつくしたであろうアレンジが惜しさを上げてくれます。これは隠れた名盤です間違いありません。
メンバー
A面(1~4)
村岡実:尺八
池田考:アレンジ
ニューディメンショングループ
山内喜美子:琴
平山万佐子:琵琶
堅田喜三久:鼓
堅田啓光:和太鼓
鈴木淳:ベース
B面(5~9)
山木幸三郎:アレンジ
ニューエモーションズ(メンバー不明):ギター、オルガン、ベース、ドラム
Take Five
ポールデズモンドが書いたスタンダードナンバーを和楽器でカバー。尺八特有の掠れた音のソロや琴の気品あるソロに和太鼓ブレイクに小鼓と和のテイストが強いけど安易な和アレンジではない一曲です。
最上川船歌
山形県の民謡でスピリチュアルジャズのようなサウンドです。
陰と陽
和の世界とファンクグルーヴをミックスさせた強烈な一曲。和太鼓ブレイクが強烈です!ドローン音のしないシタールのような琵琶もまた個性を放っています。
And I Love Her
琵琶の音を効果的に使ったイージーリスニングジャズナンバー。バックで唸るベースラインもまたかっこいいです。
The House Of Rising Sun
ここからがB面です。グルーヴィー&サイケデリックな演奏と尺八。ミスマッチなようでとてもあっています。
DO You Konw The Way To The San Jose
イージーリスニングジャズ調の一曲。尺八もフルートのような音を濁らせない吹き方でオルガンもベースを使わない緩い感じですがベースがしっかりとしめているのでかなり上質なアレンジになっています。
Soul Bamboo
タイトル通りソウルフルな一曲でA面よりのアレンジです。熱気のこもった尺八ソロが圧巻です。
Call Me
スタンダードナンバーですが個人的にはワルターワンダレイのバージョンが気に入っています。ワルターを思わせるオルガンプレイがとてもよいです。
Scarborouge Fair
ジャズでは珍しい選曲です。元々はイギリスの民謡なのでイギリス民謡を日本の伝統楽器でやったら面白いのでは?みたいなノリで選ばれたのかもしれません。サイケデリックな曇ったサウンドが印象的です。
コネクション
自国の楽器+ファンクビート+最新の音楽というとアナンダシャンカールがあります。ファンキーなビートにムーグシンセにシタール。方向性は大分違いますが似たようなかなり強烈なサウンドです。