Sly & The Family Stone. There’s Riot Goin’ On (1971)
栄光の69年から一転、71年にはスライ&ザファミリーストーンは崩壊しかけていた。ラリーグラハムを筆頭にあのグルーヴを作り出していたメンバーはいなくなり、残されたのは彼らとのデモテープや妹のローズやヴェット、リトルシスターというグループ、ビリープレストンやボビーウォマックと言った友人、リズムボックスという単調なリズムを刻み続ける装置、そしてレコード会社との契約とクスリを扱う裏社会の人間だった。しかし、スライはめげなかった。彼が作ったのはこれまでの仲間とマリ○ァナをキメているような音はなく1人で必要に駆られ安定剤を服用しているようなサウンドだった。しかしそのチープで抑制されたサウンドは新たなスタイルを作りだしてしまった。このサウンドの全てを真似するミュージシャンはいなかったもののPファンクやプリンス、マイルスデイヴィス、ハービーハンコック他、本作の影響を一切受けなかったファンクミュージシャンは珍しいと思う。
参加メンバー
スライ&ザファミリーストーン(途中脱退者含む)
スライストーン:ボーカル、オルガン、クラヴィネット、ピアノ、ハーモニー、ギター、ベース
ローズストーン:ボーカル、キーボード
フレディストーン:ボーカル、ギター
ラリーグラハム:ボーカル、ベース
グレッグエリコ:ドラム
ジェリーマルティーニ:サックス
外部ミュージシャン
ジェリーギブソン:ドラム
リトルシスター:ボーカル
ボビーウォマック、アイクターナー:ギター
ビリープレストン:キーボード
Luv N’ Height
ラリーらしいベースがかっこいい曲。そこまでローファイなサウンドでもなくまだバンドが崩れる前の録音な気がします。
Just Like a Baby
気だるいギターのリフが印象的なダウナーなファンク。歌っているというより曲に合わせてぶつぶつ独り言を言っているようなボーカルが印象的です
Poet
音数の少ないドラムとリズムボックスを重ねたビートがクセになるファンクナンバー。エフェクターを使わないクラヴィネットの音は初期のPファンクっぽいです。
Family Affair
リズムボックスのポリリズムが印象的なナンバー。こもった音(特にボーカル)で音質は良くないですが逆にクセになります。
Africa Talks To You “The Asphalt Jungle”
リズムボックスの上にギターやクラヴィネット、フニャフニャしたボーカルを適当に乗せたような曲。適当だけど絶妙なバランスで崩れていない感じが面白いです。
There’ Riot Goin’ On
無音のトラック。アナログだと0秒ですがデジタルだと8秒です。デジタルの方が長いのは0秒のトラックが作れなかったからだそうです。
Brave & Strong
リズムボックスを下敷きにファンキーなホーンやリズムギターを乗せた曲。これらは陽気ですが空元気というか無理して昔人気があったサウンドを作ろうとしているけどなりきれていない感じが逆にいいです。
(You Caught Me) Smilin’
1番捻くれていないポップなメロディの曲。ただしスライのボーカルは音質が悪くクセがすごいです。
Time
ジャジーなオルガンと壮大なクラヴィネットがかっこいいスローナンバー。スライの独り言ボーカルがクスリキメたみたいにヘロヘロです。(この時期のスライはまともな人間が逃げ出すくらいクスリにのめり込んでたみたいだから本当にそうだったかも)
Spaced Cowboy
ローファイながらもファンキーなビートがかっこいいナンバー。なぜかスライはカントリー風のヨーデルで歌っています。
Runnin’ Away
ポップで聴きやすい曲。リズムギターやホーンも元気で女性ボーカルもキャッチーです。
Thank You Talkin’ To Me Africa
シングルとベスト盤のみでリリースされたサンキューのリメイク版。曲として成立しなくなるギリギリまでスピードを落とした超ダウナーなファンクナンバーです。個人的にはベースがギュギュギューンっていうフレーズが人の声みたいで好きです。
ボーナストラックです。
Runnin’ Away(Single master)
基本的には同じだけどホーンが違います
My Gorilla is my Bulter
Do You Know What?
That’s Pretty Clean
インストのデモ。とは言えオリジナル盤に収録されたものもデモみたいなクオリティなのでインストで独特のグルーヴが詰まったこいつらのほうがグルーヴを楽しむのには向いているかも
おまけ
タイトルが似ていることやリリース日の近さ(暴動が後)、詩の内容的に比較されがちなマーヴィンのワッツゴーインオン(上)と暴動(下)の裏ジャケ。これはスライがマーヴィンを意識しているはず。誰が誰かはバンドメンバー以外はほとんどわかりませんがボビーウォマックがいますね(右上の赤丸で囲ったとこ)