Herbie Hancock. The New Standard (1996)
ジャズでスタンダードナンバーと言うと普通は戦前から1950年代くらいまでのポップスやミュージカル、映画の挿入歌が一般的です。しかし本作はニュースタンダードというだけあって1960年代以降のロックやR&Bばかりの選曲です。ここから新たなスタンダードナンバーはあまり生まれませんでしたがいいアルバムであることには変わりありません。
メンバー
ハービーハンコック:ピアノ
マイケルブレッカー:サックス
ジョンスコフィールド:ギター、シタール
デイブホランド:ベース
ジャックディジョネット:ドラム
ドンアライアス:パーカッション
New York Minute
元イーグルスのドンヘンリーのカバー。ハードボイルドなリズムがかっこいいアレンジです。ソロはハービー、ジョン、マイケルの順です。
Mercy Street
ピーターガブリエル(ゲイブリエル)のカバー。タブラが意表をつきますがその反面ピアノはスウィンギーかつ優雅なタッチなのが面白いです。
Norwgian Wood
ビートルズのカバー。ここではメロディラインをジョンがエフェクターをかけて不思議な音色で演奏しています。デイブのベースソロや洗練されたハービーのピアノソロが印象的です。ソロが終わるとサックスとギターのユニゾンでメロディが演奏されます。
When I Can See
ベイビーフェイスのカバー。乾いたパーカッションやストリングスをバックにハービーがスウィンギーにメロディを弾きそのままソロへ入ります。この曲でサックスはソロのみでギターはお休みです。
You’ve Got It Bad Girl
スティービーワンダーのカバー。アフリカンなパーカッションから始まりハービーのピアノも低音を使ったリズミカルな演奏です。メロディに入るとベースが全体をグイグイと引っ張るようなグルーヴィなベースを弾きます。個人的にはこのアルバムで1番おすすめです。
Love Is Stronger Than Pride
シャーデーのカバー。ジョンの不安定なトーンのギターがテーマを弾きサックスに交代するとアドリブへ続きます。その間ずっと後ろではグルーヴィなベースラインが演奏されています。ベース好き必聴です。
Scaborough Fair
サイモン&ガーファンクルのカバー。優雅なタッチのピアノソロから始まり一度音が消えるとサックスがテーマを吹きます。テーマもアドリブもサックスが1番活躍している曲です。
Thieves In The Temple
プリンスのカバー。原曲は不思議な曲調のハウスっぽい曲でしたが不思議な曲調はそのままジャズに作り替えています。個人的には原曲よりもこちらの方が好きです。
All Apologies
ニルヴァーナのカバー。シタールの響きが印象的なブルースナンバーにアレンジしています。
Manhattan (Island Of Lighte And Love)
唯一のオリジナル曲でピアノソロで演奏される美しいバラードナンバーです。作曲はハービーの妹のジーンです。
Your Gold Teeth 2
スティーリーダンのカバーでボーナストラックです。トリッキーなことはせず普通のジャズにアレンジしています。
ボーナスディスクには河口湖でのコンサートで演奏したYou’ve Got It Bad Girl、Thieves In The Temple、ドルフィンダンスの三曲が収録されています。どの曲も15分越えの熱演です。個人的にはYou’ve Got It Bad Girlのイントロのアフリカンなパーカッションソロがかっこいいので好きです。ボーナスディスクつきはあまり中古市場で見かけないですが名古屋市図書館にあるので名古屋市民、名古屋市の図書カードを作成できる人、そういう知り合いがいる人は借りて聴くのも手です。