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Chick Corea - Friends (1978)

 これは完全な感想ですがチックコリアは全力を出した演奏よりも多少力を抜いた演奏の方が面白いです。またアコピはどの程度本気かで左右され、エレピの使い方は上手いがシンセはそこまでとも思います。その意味では本作フレンズはアコピとエレピを使い分けRTF時代のバンドメンバージョーファレルに80年代最高のアコースティックリズムセクションと言われたスティーブガッドとエディゴメスと気心知れた仲間とほどよく力の抜けた演奏をしているとても良いアルバムです。

ちなみにジャケットは二種類ありあります。どうやら最初のジャケットは人形を無断で使用したためー使えなくなり差し替えられましたが今では権利問題が解決したため最初のデザインに戻っています。

こちらが差し替えバージョン。日本版LPは全てこのデザインらしいです。

メンバー
チックコリア:ピアノ、エレピ
ジョーファレル:テナー、ソプラノサックス、フルート
スティーブガッド:ドラム
エディゴメス:ウッドベース

The One Step
ローズの柔らかい音色としなやかなウッドベースによる親しみやすくも美しいメロディが流れてきます。ソプラノサックスによるソロはイージーではないものの柔らかい音色のおかげで難解にならず聴き心地が良いです。続くピアノソロはほんのりラテン風のリズミカルなタッチでリズム隊もここぞとばかりに強力なビートを送り込んできます。

Waltse For Dave
デイブブルーベックに捧げたワルツナンバーですが全力のチックらしいトリッキーさが見え隠れしています。変なスペルですがこれが正しいようです。

Children Song #5
1分程度の短い曲ですがフルートとピアノがRTFを思わせる美しい曲です。

Samba Song
10分越えの対策で全力のチックがピアノを弾き倒しジョーも負けじとばかりにテナーをバリバリ吹いています。リズム隊もゴメスがブンブンと引き倒しガッドも過剰なくらいタムやシンバルを乱れ打ちにしドラムロールをぶちこんできます。とはいえ全編全力のものと比べれば抑え気味ですし緊張感のある曲があった方がメリハリが出るのでケチをつけるほどではありません。

Frends
ラテン調のリズムと歌うようなフルートが印象的な曲。チックは元々ラテンジャズピアニストをしていただけあってこういったリズムが一番あっています。チック、ゴメス、ジョーとソロが続いていきますがチックのエレピによる鈴のようなソロが印象的です。

Sicily
第一期RTFを思わせる楽しいアップテンポのナンバー。タイトルはチックの父親の故郷であるシチリア島のことです。

Children Song #15#5と同じ1分程度の短い曲。チックのアルバムにはよくChildren Song #nが収録されていますがあれはどういう意図なのかや数字が何を表しているのかが気になります。

Cappucino
この曲では比較的ハードバップよりな演奏が繰り広げられていますがフレーズの端々に見え隠れするだけで基本はそこまで他の曲と変わりません。

コネクション:友達の友達
90年代に話題になり今でもYouTubeのネタ動画等で耳にする事があるスキャットマンジョン。(悪用厳禁ですが反応でその人の歳が分かる曲のひとつです笑)彼は元々ジャズピアノを弾いていました。これは吃音からのストレスから逃れるためでしたが同時に同じ理由から酒や薬に依存していました。しかし友人であったジョーファレルが若くして亡くなるとそれをきっかけに悪癖を断つことを決断。そしてなんやかんやあってあのヒットに繋がったそうです。ただジョーは病気が原因で亡くなっていることやドラッグ癖があるかが分からなかったこと(時代や共演者のメンツを考えるとクリーンな可能性は低いですが…)、ネットでは日本語版Wikipediaとそこを出典にしたページしか見つからなかったので話半分で聴いてください。