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Cannonball Adderly. Them Dirty Blues(1960)

タイトル通りのブルースフィーリングに溢れた本作はブルージーでファンキーなキャノンボールを聴きたい時にピッタリの一枚です。本作はニューヨークとシカゴの2つの町で録音されたり録音中にメンバーが変わるなどややこしい経緯を持つ一枚でセールスは振わなかったものの今では代表作に数えられる一枚です。

メンバー
キャノンボールアダレイ:アルトサックス
ナットアダレイ:コルネット
ボビーティモンズ:ピアノ(1〜5)
バリーハリス:ピアノ(6〜9)
サムジョーンズ:ベース
ルイスヘイズ:ドラム

Dat Dere
イントロのボビーの少し変わったフレーズのピアノが印象的なブルースナンバー。この曲でもアダレイ兄弟は息の合ったプレイを聴かせてくれます。変わった曲名ですがDatはThatが転じたスラングでDereはThereの意味の幼児語らしいです。

Dat Dere(Take3)
CD化の際に追加されたバージョン(アルバム収録曲はテイク5です)でプロデューサーのオリンキープニュース曰く演奏が素晴らしく困ったとのことです。

Del Sasser
ベースのサム作曲。優雅にスウィングしつつもブルース由来の力強さやキャノンボールらしいおおらかさもある曲。サムはこの曲で作曲の才能が認められたらしいです。

Soon
ナットのリリカルなミュートコルネットが美しいミディアムナンバー。続くキャノンボールのアドリブはいつも以上にはつらつとしていて聴いていて楽しいです。そしてなんとキャノンボールのグループの曲では珍しくベースソロがあります。

Work Song
ボーナストラックの別テイク。ここまでがピアノがボビーティモンズのNY録音で次のワークソングの本テイクからがピアノがバリーハリスのシカゴ録音です。ピアニストの交代理由はボビーがアートブレイキーのバンドに引き抜かれたためで録音がシカゴなのはツアーが忙しくNYに戻ってくる時間がなかったためです。キャノンボールは何テイクも演奏することを好まなかったため複数回のセッションで同じ曲を録音するのは珍しかったようです。

Work Song
ゴスペルの要素を取り入れたファンキーなナンバー。作者ナットのバージョンもいいですが2菅のこちらの方が迫力があります。NY録音と比べるとスタジオが違うからか音が異なるのが面白いです。

Jeannine
軽やかなファンキーナンバー。バリーのピアノはボビーのそれと比べると軽やかなタッチでその違いが1番分かるのがこの曲です。ソロは長めで全員の少し気楽なタッチの演奏が楽しいです。

Easy Living
キャノンボールのエモーショナルなプレイが印象的な美しいバラードナンバー。

Them Dirty Blues
アフターアワーズや休日のジャムセッションを録音したかのような寛いだ雰囲気の曲。バスドラをドカドカ打ち込んでくる不思議なスタイルのドラミングがクセになります。アルバムの最後がこういう曲やブルージーなバラードだと後味がいいです。