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Quincy Jones - The Birth Of A Band (1959)

 クインシージョーンズが亡くなりました。半世紀以上にわたって様々なジャンルでプロデューサー、アレンジャー、バンドリーダーとして活躍してきました。追悼記事やニュースの多くは80年代のポッププロデューサーとして彼にフォーカスをあてたものが多いですが、やはり70年代中盤ごろまでのジャズミュージシャンとしての作品に一番魅力と愛着を感じます。
 本作は彼が初めてビッグバンドを立ち上げた記念に制作されました。録音後ヨーロッパに行きミュージカルの伴奏を行いますが成果は散々で5万ドルという多額の負債を負ったクインシーはマーキュリーに立て替えてもらうかわりに重役兼プロデューサーとして数々の作品に携わることになります。(マーキュリーや子会社のエマーシーでクインシーが手掛けたものに外れはないです)ただし本作のジャケットではそんな苦境が待っていることも知らず笑顔のクインシーが写り、中ではみなのびのびとノリのよい演奏を繰り広げています。

メンバー
ハリーエディソン、アーニーロイヤル、ジョーロイヤル、:トランペット
クラークテリー:トランペット、フリューゲルホルン
ビリーバイヤース、ジミークリーブランド、アービーグリーン、トムミッチェル、メルバリストン、クエンティンジャクソン、:トロンボーン
フィルウッズ、フランクウェス:アルトサックス
ジェロームリチャードソン:フルート、アルト、テナーサックス
バドジョンソン、サムテイラー、ズートシムズ、ベニーゴルソン:テナーサックス
ダニーバンクス、サヒブ̪シハブ:バリトンサックス
ジュリアンワトキンス:フレンチホルン
モーウェクスラー、パットボウン:ピアノ
ケニーバレル:ギター
レススパン:フルート、ギター
ミルトヒントン:ベース
オシージョンソン、サムウッドヤード、チャーリーパーシップ、ドンラモンド:ドラム
ジミークロフォード:パーカッション

The Birth Of  A Band
クインシーらしいスピードと迫力のあるブルースナンバー。チェイスをくり広げるテナーはズートとリチャード。

Moanin'
ボビーティモンズが書いたファンキージャズ。カバーではオリジナルのジャズメッセンジャーズではなくこちらを参考にしたものが多い印象です。

I Remember Clifford
ベニーゴルソン作曲。クラークテリーのまろやかなフリューゲルホルンの音が印象的でバッキングのホーンセクションはニューオリンズの葬送曲を思わせます。

Along Came Betty
こちらもベニーゴルソン作曲。ファンキーながらもまろやかでミステリアスな編曲が印象的です。後にBody Heatにてメロウなフュージョンとして再演しています。フルートはフランクウェス、アルトはフィルウッズ。

Tickle Toe
レスターヤングの曲。アレンジはクインシーではなくアルコーン。アップテンポのガチャガチャしたファンキージャズです。

Happy faces
ソニースティット作。トロンボーンを中心にしたまろやかでスケールの大きいホーンセクションをバッキングにズートシムズがアドリブを取ります。

Whisper Not
これもまたベニーゴルソン作曲。ベニーらしいほんのり東洋風のミステリアスなミディアムナンバーです。

The Gypsy
スタンダードでメルバリストンのアレンジ。フィルウッズの艶やかなアルトが素晴らしいです。

A Change Of Pace
クインシーとスウェーデンのビッグバンドリーダーのハリーアーノルドの共作。まったりとしたスウィングジャズからハリースウィーツのミュートトランペットが印象的なスローテンポのブルースへと変化していきます

Tuxedo Junction
グレンミラーの演奏が有名なスタンダードナンバー。ここでのテナーはサムテイラー。ムードミュージックでの活動がメインですが骨太なテナーで硬派なところを見せつけています。

Daylie Double
クインシーのオリジナルで洗練された粋なスウィングナンバー

Midnight Sun Will Never Set
クインシーがスウェーデンを訪れた際に書いた曲でひっそりとリズムに徹していたケニーバレルのギターがソロを取っています。