King Curtis. Live at Fillmore west (1971)
見ているだけで汗がたくさん飛んできそうなジャケットです。ときは1971年。場所はニューヨークのロッククラブフィルモア。キングカーティスをリーダーに集まったソウルの精鋭たちはこの場をソウルで染め上げてしまいます。女王アレサフランクリンの前座兼バックバンドとして出演した彼らですがメインアクトとして出演しても充分なくらいソウルフルでファンキーです。
曲のほとんどはキングカーティスが67年にリリースしたKing size soulからの選曲です。バーナードパーディやコーネルデュプリー(スタッフ、ガッドギャング)は後に自分のアルバムやライブでも演奏しています。
Memphis soul stew
ジェロールジェモットのうねりまくるファンキーなベース、バーナードパーディの力強いドラム、コーネルデュプリーのテキサスのアーシーなギター、ビリープレストンの教会直送のソウルフルなオルガン、メンフィスホーンのシャープでファンキーなホーン、パンチョモラレスの乾いたコンガ、キングカーティスのソウルフルでフリーキーなサックス、トゥルーマントーマスのくすんだエレピの全てがかっこいいジャムナンバー。メンバー紹介をシチューの作り方に例えたMCも面白いです。ボーナストラック付きのバージョンだと冒頭のMCが若干長いです。
A whiter shade of pale
プロコルハルムのカバー。キングカーティスのサックスの後のビリープレストンによるオルガンがソウルフルでたまりません。
Whole lotta love
レッドツェッペリンのカバー。コーネルらしくないノイジーなベースギターと破壊的なドラム、ヒステリックで混沌としたホーンとオルガンが最高のファンクロックにアレンジしています。
I stand accused
ワウをかけてゴニョゴニョなるサックスがかっこいい曲。クリアトーンで優しく包み込むようなオルガンとギターが印象的です。
Them changes
シャープなホーンセクションと鈍器のようなリズム隊が恐ろしくファンキーなファンクロックナンバー。後半になるにつれて混沌としてくるのがいいです。
Ode to Billy Joe
オリジナルはフォークながらもなぜかソウルジャズ、インストソウル界で人気のこの曲もしっかり取り上げています。ここでもワウを使ったエレキサックスを吹いています。ファンキーでかっこいい音色です。
Mr.Bojangles
フォーキーなギターが意表を突いてくるフォークナンバー。オルガンもソフトな音でキングカーティスもシンプルなアレンジで電気サックスを気持ち良さそうに吹いています。後半になるとバーナードが俺にも演奏させろと言わんばかりにドカドカと叩き込んできます。
Sined, sealed, deliverd (I’m yours)
疾走感のある力強いファンクナンバー。コーネルはこの曲をスタッフ、ガッドギャングと弾き継いでいきます。
Soul serenade
多くのミュージシャンがカバーしている曲ですがオリジナルはキングカーティス。フリーキーなトーンのアドリブをたくさん入れつつファンキー&メロウに演奏しています。
ここからはボーナストラックです。
My sweet lord
ジョージハリスンのカバーでビリーがボーカルをとっています。ゴスペル由来の熱いオルガンとボーカル、それに負けじと演奏するリズム隊が最高に熱いゴスペルファンクです。
Them canges
Ode to Billy Joe
Soul serenade
Memphis soul stew
全て別日の録音。基本的にはアルバムバージョンと変わりませんが若干荒が多く(Soul serenadeだけは逆におとなしい)本来のテイクに採用されなかったのも納得できます。しかしグルーヴに乗って荒く突っ走るこれはこれでかっこいいです。Memphis soul stewではメンバー紹介のたびにAmenを連呼しています。観客のノリも悪くないですがなぜやめたのか気になります。