Daryl Hall & John Oates - S,T (1975)
ポップ、ロックミュージシャンとして80年代に人気があったホール&オーツ。彼らはフィラデルフィアの出身でホールは18歳でフィラデルフィアのスタジオミュージシャンとしてケニーギャンブルと仕事をしたこともある人物。その後フォークよりのアルバムも出していますがその時代は聴いたことがないのでわからないですが単なるぽっと出のポップシンガーではないことが分かる経歴です。本作はRCAに移籍後初のアルバムでソウルとロック両方のファンに魅力をアピールできるサウンドが詰まっています。
メンバー
ダリルホール:キーボード、ボーカル
ジョンオーツ:ギター、ボーカル
クリスボンド:ギター、シンセサイザー
ジムゴードン、エドグリーン、マイクベアード:ドラム
リーランドスクラー、スコッティエドワーズ:ベース
ゲイリーコールマン:パーカッション
クラレンスマクドナルド:キーボード
Camella
ほどよくハードな演奏に清涼感のあるコーラスが乗る王道のアメリカンロックナンバーですがストリングスやコーラスアレンジはほんのりソウルっぽい。この程よいバランスが大好きです。
Sara Smile
タイトなリズムとメロウなメロディがソウルフルなバラードナンバー。個人的には興味の対象外のポップシンガーという誤解を解いてくれた曲ということもあって彼らの曲で一番好きです。またエリックゲイルのカバーはレゲエ風のビートでこちらもおすすめです。
Alone Too Long
ほんのり哀愁あるミディアムナンバー。グルーヴィなリズムもかっこいいしソウル風のファルセットボーカルやシンセも個性的で好きです。
Out Of Me Out Of You
レゲエっぽいリズムのポップロックナンバー。
Nothing At All
メロウなギターが美しいソウルバラード。一音一音が力強いタイトなドラミングはジムゴードンだと思います。
Gino
シンセサイザーのシーケンスフレーズを使ったイントロが印象的なロックナンバー。サザンロック風のフレーズもあり清涼感もある不思議な曲です。曲が進むとメロディも少し不思議なところが出てきて面白いです。
It Doesn’t Matter Anymore
ウェストコーストロックの清涼感とソウルバラードのメロウさをミックスしたミディアムナンバー。ホール&オーツらしいサウンドです。
Ennui On The Mountain
グルーヴィであっさりしたブルースロックナンバー。
Grounds For Separation
ファンキーなリズムのロックナンバー。ドラムやシンセ、コーラスなんかがすごい変ではないけど微妙に違和感を覚える不思議なアレンジで面白いです。
Soldering
リズムボックスを使ったフォーキーなソウルナンバー。ほんのりカリプソやハワイアン風のメロディなのが今の季節心地よいです
コネクション:フィラデルフィアのソウルとロック
フィラデルフィアにはチャビーチェッカーというファッツドミノをパクった芸名のシンガーがいました。(どちらも太っているという意味の単語とテーブルゲームの名前の組み合わせ)彼のバンドでアレンジャー兼音楽監督をしていたのがトムベル。またフィラデルフィアにはキャメオパークウェイというレコード会社やアメリカンバンドスタンドという番組の収録が行われていたことからアイドルよりのロックンローラーが多くこの地で有名になりました。キャメオのスタジオでセッションミュージシャンをしていたのが高校時代から同じバンドにいたトムベルとケニーギャンブル。そしてそこでリオンハフと出会い3人はやがてアレンジや作曲、プロデュースも手掛けていくようになります。また既に触れたようにホールもスタジオミュージシャンの1人としてそこで働きました。少し時間は戻りますがキャメオパークウェイが68年に倒産後にあるエンジニアがそのスタジオを買い取りシグマと改名。フィリーソウルの聖地となりました。そう考えるとホール&オーツのソウルとロックをミックスしたポップなサウンドやアイドル的人気もフィラデルフィアという土地柄から来たものなのかもしれません。余談ですがマイルスデイビスとの共演で有名なレジ―ルーカスもフュージョン界のベーススターの一人アンソニージャクソンもビリーポールのツアーバンドやMFSBの一員として働いていたこともあります。ホール&オーツとマイルスデイビスという全くつながりのないミュージシャンがフィリーというこれまたつながりのないジャンルを介して間接的に繋がるのは面白いです。