Les McCann & Eddie Harris - Swiss Movement(1969)
このコンサートは思いつきとアクシデントによってリハーサル含め全く共演したことがないミュージシャン同士の演奏になったものの結果として素晴らしい演奏が繰り広げられたという珍しい例です。会場はタイトルにもある通りスイスのモントルーフェスティバルでリズム隊はレスマッキャンのグループのメンバーだったものの肝心のレスは飛行機に乗り遅れてエアチェックにこない、エディハリスは打合せ時間もレスの演奏をほとんど聴いた経験もない中ピアニストをしていた経験を活かして肩越しにコードを見ながら合わせるという荒技を披露。さらに2日になって現地に移住していたトランペット奏者であるベニーベイリーの参加が決定。彼もまた演奏を聴いていなかったためコードを読み取りながらついていったといいます。そんな状況故にエディ、レス、ベニーの3人はそこまでいいものとは思っていなかったそうですが聴いて分かる通り素晴らしく熱のこもった演奏が繰り広げられており、後々3人ともその評価を良い方に改めました。
レスマッキャン:ピアノ、ボーカル
エディハリス:サックス(バリトーン)
ベニーハリス:トランペット
リロイヴィネガー:ベース
Compared To What
グイグイと引っ張るようなドライブ感あふれるグルーヴがかっこいい曲。ロバータフラック歌ったことで有名なFeel Like Makin’ Loveの作者であるユージンマクダニエルが書いた曲です。
Cold Duck Time
エディのサックスをメインにしたファンキーな曲で何の準備もなくエディがその場で咄嗟に考えたといいます。タイトルは飲み物の名前らしいです。
Kathleen’s Theme
エディのバリトーンを使ったと思われるダーティな演奏をメインにした4ビートのストレートよりのナンバー。バリトーンはエレキサックスの走りで生音にアンプでエフェクトをかけた音をダブらせるというシステムを用いておりこのようなダーティーなサウンドが持ち味ですが使用者は多くなくこれを3年ほど使ったエディは珍しいです。
You Got It In Your Soulness
レスのゴスペル由来の力強くソウルフルなピアノがかっこいい曲。レスの演奏はとても良いですがミスが多くしてしまったため本人は気に入っていませんでしたがアーマッドジャマルが絶賛したことで誇りに思いこのジャケットを壁にかけるようになったそうです。
The Generation Gap
モーダルなバラードナンバーで解説によると5回もコードチェンジをしているようなのでホーン2人は大変だったと思いますが楽々と吹きこなしています。エディのホンカー風のソロ+バリトーンはバックがモーダルなのもあってフリージャズみたいになっています。
Kaftan
オリジナルレコード未収録の曲でCD化の際にテープが発掘され追加されました。ドープなベースをバックにしたソウルフルなピアノとホーンセクションがかっこいいです。タイトルはトルコ風の服の名前らしいです
追記)レスマッキャンさんの御冥福をお祈りします。
レスマッキャンとルーロウルズとの共演版。こちらもこれが初共演です。