Boz Scaggs - Slow Dancer(1974)
ブルースバンドのボーカリストとして活動を始めファーストアルバムをマッスルショールズで録音したボズスキャッグス。ヒットした頃とは正反対とも言えるスタイルの彼ですが本作はちょうどその過渡期にあたる一枚。プロデューサーにはモータウンの仕事を多く行うと同時にソウルシンガーとして活動していたジョニーブリストルを起用。彼は共作も含めるとアルバムの半分にあたる5曲を提供しています。ミュージシャンもこの頃の西海岸録音のソウルのいつメンと言える人を数多く器用。この頃のソウルの名盤と比べても遜色のない一枚です。ちなみにリリース当時は海パン姿のボズでしたが何故かジャケットが途中から現在のものに変更されています。
メンバー
ボズスキャッグス:ボーカル
エドグリーン、ジェイムスギャドソン:ドラム
ジョーサンプル:キーボード
デイヴィッドTウォーカー、デニスコフィー、ワーワーワトソン、ジェイグレイドン:ギター
チャックフィンドレー:トランペット、フリューゲルホーン
アーニーワッツ:サックス
他
You Make It So Hard (To Say No)
この頃のモータウンらしい循環するベースラインに多幸感あるギターやホーンが乗る曲。ボズのボーカルも穏やかすぎず濃すぎずのちょうどいい感じ。
Slow Dancer
デイヴィッドTウォーカーのギターが最高に心地よい一曲。ヴァイブやストリングスをたくさん使ったフィリー調の一曲。
Angel Lady (Come Just In Time)
ダークな雰囲気のファンクナンバー。こちらのギターはワーワーワトソンとデニスコフィーの2人のはず。
There Is Someone Else
聴きながら昼寝したくなるような暖かく穏やかなバラードナンバー。多くのソウルにはない雰囲気なのでボズの曲でしょうか。
Hercules
アラントゥーサン作でアーロンネヴィルが歌った曲のカバー。心なしかアーロンに声を寄せているように思います。これもAngel Ladyのようなファンクナンバーですがこちらの方がグルーヴィでかっこいいです。ギターはおそらくワウを使って銃声のような音を出しているのがワーワー、ファズもかけてヒリヒリしたギターを弾いているのがデニスな気がします。
Pain Of Love
同時期のSSWたちが書きそうなメロディの一曲。演奏もソウルフルだけどどこか内省的なものがあります。
Sail On White Moon
Pain Of Loveのようなスタイルの一曲。個人的にはこの二曲の流れがこのアルバムのハイライトだと思っています。
Let It Happen
スティールペダルのようなギターが印象的な一曲。多幸感ある女声コーラスが印象的です。
I Got You Number
ロックっぽいスタイルのファンクナンバー。ボズは歌詞通りの意地悪そうな男になりきって歌っているのが印象的です。
Take It For Granted
素朴な雰囲気の曲。ソウル色は薄くそれまでのボズ特に1971年のMomentsのような雰囲気の一曲です。