Antônio Carlos Jobin. The Composer Of Desafinado, Plays (1963)
裏方のはずがひょんなことから表に出てヒットしてしまう。そんな珍しい体験をした人の1人が今回紹介するアントニオカルロスジョビンです。ジョビンは元はアレンジャーや作曲家として活躍していました。そしてブラジルで人気になったかと思えばアメリカ合衆国でも火がつき自身の名義のアルバムの制作を提案されます。しかしジョビンは自分のことを作曲家であると考えていたため初めは断ります。しかし作曲家としての彼を紹介するためのアルバムであると説得されたため制作することに決めたそうです。その後彼の曲が多くのミュージシャンにカバーされ、本人もミュージシャンとして成功したことを考えるとこのアルバムを作ったことは正解だったと思います。
メンバー
アントニオカルロスジョビン:ピアノ、ギター
レオライト:フルート
ジミークリーヴランド:トロンボーン
ジョージデュヴィヴィエ:ベース
エジソンマシャード:ドラム
クラウスオガーマン:アレンジ
Girl From Ipanema
代表曲を爽快なアレンジで演奏しています。途中のストリングの気だるい感じやジョビンのシンプルだけど曲調にあったピアノが印象的です。
Amor Em Paz (Once I Loved)
穏やかながらもどこか影のあるアレンジが美しい曲
Água De Bebe
トロンボーンの柔らかな響きが印象的な曲。この曲は首都ブラジリアを祝うための交響曲を依頼され首都を訪れた時に飲み水の湧く音にインスパイアされたそうです
Vivo Sonhando (Dreamer)
ボサノヴァ風の野菜を切るような音のドラムが印象的なナンバー。
O Morro Não Tem Vez (Favela)
どこか悲しげなフルートとピアノが印象的な曲。元々は演劇のために書かれた曲でFavelaとはリオにあるスラム街のことらしいです。
Insensatez (How Insensitive)
シンプルなタッチのピアノにスポットライトを当てた曲でバックで鳴るチェロの音が印象的です。
Corcovado (Quiet Night)
フルートとストリングの美しいメロディをメインにピアノのテーマメロディがたまに聴こえるアレンジが面白い曲。原題はコルコヴァードという地名なのにアメリカでのタイトルは静かな夜。関係ない邦題をつけるのは日本だけではなかったんですね笑。
Samba De Uma Nota Só(One Note Samba)
タイトル通りワンノートで演奏されるシンプルな曲。アップテンポで演奏されることが多いですがスローテンポの洗練されたアレンジで演奏されます。
Meditation
トロンボーンのイントロから始まる曲で少し固めのリズムが印象的です。
Só Danço Samba (Jazz Samba)
フルートがメインの曲でストリングも控えめでタイトル通りジャズっぽい一曲です。
Chega De Saudade
繊細なピアノソロが美しい曲。ここではリズミカルなアドリブも披露しています。主役のピアノを邪魔しないながらも存在感のあるストリングも美しいです。
Desafinado
ジョビンの弾くテーマが楽しい一曲。日本でボサノヴァといえばGirl From Ipanemaですがアメリカやブラジルではこの曲らしいです。(このアルバムの原題にはこの曲名が入っていますが邦題はイパネマの娘です。)
参考文献
小川隆夫著 ジャズ超名盤研究3 シンコーミュージックエンタテインメント(2020)