酒井潮 - Blues Meeting(1993)
酒井潮さんは日本を代表するオルガン奏者です。しかしオルガンジャズを軽視する風潮故か知名度も再発頻度も高くないのが現状です。彼は1934年生まれで1952年にピアニストとしてギタリスト沢田俊吾さんのバンドでプロデビュー。しかしクラブでみたオルガンに惹かれ65年にオルガン奏者に転向。本格派のジャズからエレクトーンを使ったイージーリスニングものまで枚数は多くないもののバラエティに富んだアルバムを発表しています。特に横田基地でのライブを収録した治外法権は日本のソウルジャズアルバムの最高峰です。本作は楽器の編成は違えど音の雰囲気はケニーバレルのミッドナイトブルーそのもの。リリースは日本を代表する独立系ジャズレーベルのスリーブラインドマイスからで再発はなし。海外のつまらないアルバムや売れすぎて中古市場で飽和状態のアルバムをしつこく再発するくらいならこのアルバムを再発してもらいたいです。
メンバー
酒井潮:オルガン
和田直:ギター
白井淳夫:アルトサックス(2,3,6,7)
藤井寛:ヴァイブ(3,4,5,6)
水橋孝:ベース(2,7)
深沢光治:ハーモニカ(1)
Down Stairs
ケニーバレルのカバー。ブルースハープも入ったジャズかブルースのどちらともいえない演奏がとても良いです。
Louise
60年代にタイムスリップしたようなアーシーなソウルフィーリングが最高の一曲。アルトサックスの白井淳夫さんは70年代にニューハードに参加。その後は福井を拠点に活動したミュージシャンでソウルフルで歌うような演奏をしています。続くギターソロ、オルガンソロも60年代のブルーノートやプレスティッジのレコードのようなソウルフルな音です
Eleven O'Clock Stomp
白井さんのオリジナルナンバー。ヴァイブは藤井寛さん。他の人ほど華々しい活動は有りませんが演奏は確かです。スウィンギーでほんのりジャイビーな演奏が最高です。
In The Dark
しっとりとしたブルースナンバー。オルガントリオにさりげなく絡むヴァイブがしっとりとしたフィーリングを高めています。オルガンのベースも他の曲では埋もれ気味でしたがここではグルーヴィーに鳴っています。
That Lucky Old Sun
酒井さんのお気に入りの曲でブルージーなバラードナンバー。ギターもオルガンも切なく歌っています。ギターの和田直さんはチャーリークリスチャンを聞いてジャズギターを始めたというだけあってブルースフィーリングにあふれたバップ的な演奏をしています。酒井さんとは20年ぶりの共演だったそうですが長年ともに演奏していたかのような息のあった演奏をしています。
Early In The Morning
ルイジョーダンのカバー。軽やかでファンキーな演奏がかっこいいです。ドラムのパンリュウ博昭さんはバークレーで学んだ経験もあるドラマー兼プロデューサー。派手な演奏ではないものの軽くタイトなドラミングでオルガンをしっかりと支えています。
What's New
ジミースミスも演奏したスタンダードナンバー。本来は元カレに合った女性の心情を歌った曲ですが久々の共演に思い出を語り合っているかのような演奏です。ベースは水橋孝さん。今田勝さんや大野雄二さんをはじめ多くのミュージシャンと共演してきました。
コネクション:ライブ映像
テレビ番組(セットを見るにタモリさんの番組のようです)にでたときの映像でソロでTake The A Trainを演奏しています。1分程度の短い演奏ですがとてもかっこいいうえにカメラアングルのおかげでオルガンの弾きかたがよくわかります。よくソロでやるビャービャーっていうあれ(説明下手ですみません。動画見れば分かるはずです)はたくさんの鍵盤を押しているのかと思いましたが左側の白黒が反転したキーを押すとあの音に切り替わっています。オルガンは奏法を紹介する資料が少ないので貴重です。