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Sam Cooke - Live At Harlem Square Club(1963)

 正直サムクックあんま好きじゃありませんでした。ソウルの発祥っていうからベスト盤を聴いてみたけどサザンソウルほどダイナミックでもなければモータウンほどリズムが跳ねてる訳ではなく甘いストリングスと静かなビートで確かに歌は上手いけど…って感じでした。代表曲とされるChange Is Gonna Comeがそんなサウンドだったのが勘違いを加速させました。こんなことを書くと怒られそうですが Change~の評価はサウンドよりも歌詞や社会性を重視する評論が悪い方向に大きく作用してしまった気がします。そう言った点も大事ですが音楽は「音」楽なのだからその曲の音が評価の第一にくるべきだと思います。
 だから初めて本作を聴いたときはあまりにも熱く燃えるサムに驚きました。これを聴いてレコード会社はポップシンガーとしてのサムクックのイメージに傷が付くと考えてお蔵入りにしてしまったそうですがそれも納得です。荒っぽい演奏にのって熱のこもった歌を披露するサム。必聴です。

サムクック:ボーカル
クリフトンホワイト、コーネルデュプリー:ギター
ジミールイス:ベース
アルバート“ジューン”ガードナー:ドラム
ジョージスタッブス:ピアノ
キングカーティス:テナーサックス
テイトヒューストン:バリトンサックス

キングカーティスとまだ有名になる前のコーネルデュプリーが参加は嬉しいおまけです。バリトン奏者のテイトヒューストンは40年代から活躍する残すジャズ系のミュージシャンで後にマーヴィンゲイのWhat’s Goin’ Onにも参加しています。また彼とドラムのジューンガードナーは共に40年代後半にライオネルハンプトンの楽団に在籍していました。

Feel It
サムの登場前のMCがぶっきらぼうだけど熱のある喋りでそれだけで安心しますが演奏もボーカルもソウルらしいものでこれ一曲で聴いてよかったと思えます。MCですがキングカーティスのフィルモアでのライブでの自己紹介と声が似ているのでキングカーティスではないかなと思います。

Chain Gang
荒っぽい演奏がかっこよくてウッハッという掛け声もオリジナルはコーラス隊のやや甘い声だったので?でしたがサムやノリまくった観客が歌うとここまでかっこよくなるのかと驚きます。

Cupid
ざらついたボーカルがかっこいいソウルナンバー。後にスピナーズもカバーしていて好きな曲ですがこれがベストです。

It’s All Right / For Sentimental Reason
甘く切ないバラードナンバーですが歌も演奏も甘すぎないのでいいソウルナンバーに仕上がっています。ベテラン2人のサックスもかっこいいです。最後は観客と合唱。ここで一緒に歌いたかった…

Twisted The Night Away
軽快だけで荒っぽいノリのグルーヴィがかっこいい曲。サムもグルーヴにのって伸びやかに歌っていて気持ちよさそうです。さらにキングカーティスのソロまで!聴き手が何を聴きたいのか分かりすぎています。

Somebody Have Mercy
ドラムがかっこいいミディアムナンバー。この曲だけじゃないですがドラムの音がどの曲もかっこいい!さらにサックスソロ(三度目)。途中マイクのバフッと鳴っているところも生な感じで好きです。

Bring It On Home To Me
You Send Meの歌詞を歌いながらの長いイントロから始まりますがこんなかっこいいライブ滅多にないはずです。最後は熱唱&歓声ですが観客の声を編集で落としたような感じなので強いて不満を言うならもっと観客の声を大きく入れて欲しかったですね。

Nothing Can Change This Love
ライブも後半。若干声がお疲れ気味ですが手を抜かず全力です。演奏もサムに寄り添うように少しソフトですがこちらも全力です。サックスソロも最高です。

Having A Party
演奏にもライブの最後の名残惜しさが出ている気もないですが熱く観客を巻き込みながら演奏しています。こんな楽しいパーティ絶対に他にはないです。

コネクション:歓声がすごい
黄色い歓声が飛び交う本作。サムのようにアイドル的人気があると珍しくはないです。同時期のビートルズの映像はもちろん、比較的最近知り合いがライブに行ったK-POPアイドルも曲が聞こえないレベルの歓声だったとか。BBキングもイメージではロックマニアのおっさんが研究に近い感覚で聴いていそうですがリーガルでは甲高い歓声がすごいです。ファンクやソウルジャズだとになると歓声が低くなる変わりにテンションが高くなり喋りが上手いと笑い声、会場が飲食店だと食器の音と客席から聞こえる音が変わるのが面白いです。