Sarah Vaughan - In The Land Of Hi Fi(1955)
タイトルの響きがレトロな本作はサラヴォーンのバッキングにキャノンボールアダレイをソロイストとしてフィーチャーしたビッグバンドが付いた豪華な一枚で、指揮はサックス奏者でもあるアーニーウィルキンスです。この時期のキャノンボールというと演奏スタイルと会社の方針が合わず評価が高くは無いですが、ここでの一人バップ的なフレーズを振りまきサラのスキャットと対等に張り合う演奏はとても素晴らしいです。
メンバー
サラヴォーン:ボーカル
キャノンボールアダレイ:アルトサックス
アーニーロイヤル:トランペット
タークヴァンレイク:ギター
ジミージョーンズ:ピアノ
ジョーベンジャミン:ベース
ロイヘインズ:ドラム
音的にはホーンセクションがもっといてもいいはずですがクレジットされているのは二人だけ。ソロイストだけのクレジットなのでしょうか。リイシュー盤ではジェロームリチャードソンがフルートでクレジットされているものもあります
Over The rainbow
サラのロマンティックな歌唱と甘くもくどさのない演奏が良い一曲。個人的にはこのバージョンが一番好きです。
Soon
イントロのキャノンボールのアルトが良い一曲。アルトが甲高いとホーンセクションは低く、アルトがムーディならホーンセクションは切れ良くといった対比を効かせたアレンジもとても良いです
Cherokee
アップテンポのナンバーでキャノンボールの弾けるようなバップフレーズのソロがとても最高です。
I'll Never Smile Again
ソフトなバラードナンバー。アップテンポのCherokeeとブルージーなDon't Be On The Outsideの間にあることでアルバム通しで聞いた時メリハリがあっていいですね。エマーシーは他レーベルより曲の並べ方が上手いと感じます。
Don't Be On The Outside
ブルージーなミディアムナンバーで迫力ある演奏がかっこいいです。特にロイヘインズのマックスローチばりのドラミングがかっこいいです。
How High The Music
エラフィッツジェラルドの歌唱が有名ですがサラも負けてはいません。ロイの千切りのようと称されるドラミングに乗ってキャノンボールがキレのよいアドリブを繰り広げサラも負けじとばかりにスキャットで張り合っていきます。
It Shouldn't Happen To A Dream
ジミージョーンズのドリーミーなピアノが印象的なバラードナンバー。キャノンボールの間奏部のソロもまたエモーショナルで良いです
Sometimes I'm Happy
スウィンギーなミディアムナンバー。歌も演奏もはつらつとしていてとても楽しい一曲です。
Maybe
スウィンギーなミディアムナンバーですが前の曲とは異なりどこかリラックスした演奏と歌です。
An Occasional Man
迫力あるドラミングがかっこいい一曲。ただなぜかドラムだけはこもった音なのが気になります。
Why Can't I
ホーンアレンジの良い曲。誰が参加しているのか気になります。後出しで判明したジェロームリチャードソン以外にもクラークテリーも参加していると予想します。
Oh My
フルートと甲高いトランペットの音色が印象的なリズミカルな一曲。
コネクション: In The Land Of Hi Fi
このタイトルは本作だけでなくエマーシーの企画盤のシリーズタイトルで他にもキャノンボールアダレイ、ダイナワシントン、パティペイジも同じ時期に同じタイトルのアルバムを作っています。全て聞いてみたいです。