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Cab Calloway - S,T
ズートスーツを身にまとい歌い、踊り、指揮をするエンターテイナーのキャブキャロウェイ。本作は30年代から40年代にコロンビア系のレーベルに吹き込んだもので音質も若干良くないですが30年代より改善されています。演奏にはチューベリーはじめ優秀なミュージシャンが揃っていて聴きやすいうえに聴きごたえもあります。
St. James Infiamary
1930年初録音でこれは1941年に再録されたもの。こもった音質ではありますがコーラスを入れてじっくり聴かせるような歌唱はとても素晴らしいです。ルーロウルズや意外な所だとスライ&ファミリーストーンもカバーしています(フィルモアでのライブ)さらに黒澤明監督の酔いどれ天使でもキャブのバージョンを基にしたであろう演奏が流れこれはブルースだと紹介されるシーンがあります。戦後すぐの日本でもブルースが入ってきていたのは興味深いです。
The Honeydripper
1945年録音。キャブに限らず45年あたりから音質が良くなる印象があります。この年にはアメリカの勝利は確定しているので軍事研究の民間転用が進んでいたのかもしれません。ジョーリギンズのカバーでジャンプブルース的なモダンな演奏ではありますがスウィングジャズ的なホーンソロなどこの時代らしさがあってよいです。オリジナルのジョーリギンズはもちろんジャックマクダフのカバーもよいです
Blues In The Night
1941年録音。コーラスはパーマーブラザーズというグループ。ブルースではないらしいですがディープなブルースフィーリングに溢れた演奏です。ルイアームストロングやレイチャールズもカバーしています。
Miss Otis Rigrets
コールポーターが34年に書いた曲で35年の録音なので当時最新の曲です。キャブの強烈な個性に染められてはいますがコールポーターらしい曲の良さも感じられます。
Chop, Chop, Charlie Chan
中国人を題材にした曲でキャブのエセ中国語も聞けます。Chで韻をを踏んだタイトルや少し変わったテーマにそぐわず演奏はストレートなスウィングジャズです。トランペットはディジーガレスピーもいます。
The Jumpin' Jive
1,939年録音。ヒップスターのスラングを織り交ぜた歌詞で下世話なスウィング感がとてもよいです。
Minnie the Moocher
42年録音で31年初録音で33年にも再録、さらにブルースブラザーズでも再録と知名度、吹き込み回数ともにキャブを代表する曲です。猥雑な演奏、コール&レスポンスがとてもかっこいいです。
The Ghost Of Smoky Joe
39年録音。Minnie the Moocherの続編でハイデハイデホーもたっぷり聴けます。演奏ではモダンジャズ時代にも活躍するベーシストのミルトヒントンやホンカ―にも影響を与えたであろうサックス奏者のチューベリーが参加しています。
Let's Take the Long Way Home
45年録音。ビンググロスビーが歌った曲でキャブらしくないですがムーディーに歌い上げています。
Utt Da Zay
39年録音。ミステリアスなメロディが印象的な曲です。後半にいくにつれてスウィング感が増していき最後はチューのソロが入ります。
Geechy Joe
41年録音。ギーチーというのはジョージア州や南キャロライナ州に住むアフリカンアメリカンの人のことでアフリカ文化の痕跡をとどめた素朴な生活をしているそうです。確かにいつもより素朴で枯れたような演奏になっています。
Eadie Was A Lady
32年録音でこのアルバムで最も古い録音です。時代が古いせいか演奏がおとなしく感じます。