見出し画像

Herbie Hancook - Dedication (1974)

本作は当時流行っていたピアノソロにハービーが挑戦した一枚です。ただし本当の聴き所はアコースティックピアノソロではなくB面(CDだと後半二曲)に収録された各種電気キーボードを多重録音した曲です。録音は日本側からの提案で、スタジオに電気キーボードを持ち込みセッティングする時間が無かったためライブ会場でリハーサルを兼ねて収録されたそうです。ほぼ事前準備なしでここまでクオリティの高いアドリブをくり広げるハービーの創造力には驚かされます。当時マネージャーで本作のプロデュースを行ったデヴィッドルービンソンは録音のために来日すると、レコーディングとライブに立ち合い深夜から早朝にミックスダウンの指揮をとり、その日のうちにアメリカに帰るとポインターシスターズの録音を行うと大忙しです。

メンバー
ハービーハンコック:
アコースティックピアノ(1,2)
フェンダーローズ、アープソロイスト、アープオデッセイ、アープ3604、アープ2600、アープストリングシンセサイザー(3,4)

Maiden Voyage
Dolphin Dance
アコースティックピアノ一台による演奏。個人的にピアノソロはあまり好きなスタイルではないため後半2曲ばかり聴いていますが改めて聴きなおすとアドリブやタッチなど彼の優れた才能が伝わってきます。ちなみにMaiden Voyageのみ録り直しを行い、Dolphin Danceはこの年に亡くなったデュークエリントンに捧げています。(前述のポインターシスターズの録音はデュークエリントンメドレーが録音されました。)

Nobu
ハービーの日本人の友人に捧げられた曲です。シンセサイザーのシーケンサーによるエレクトロニックなリズムはジャズというよりテクノのそれでサイバーパンク感があってかっこいいです。特にシーケンサーフレーズにストリングシンセがかぶさるところがとてもゾクゾクします。エレピはヘッドハンターズのようなファンキーなタッチでこちらもかっこいいです。どこかでとあるDJの方が自身のフェイバリットにあげてイベントのときほぼ必ずかけるという話を聞きましたがそれも納得です

Cantaloupe Island
こちらはヘッドハンターズよりの ファンキーなナンバーです。オリジナルはブルーノート時代でのちにヘッドハンターズとレイパーカーjrとワーワーワトソンの2人を加えた編成でレゲエ調にアレンジして再録していますがここでは言われても同じ曲とは思えないくらいアレンジが異なっています。

コネクション:ハービーの日本録音
ファンク期のハービーとVSOPは少なくない数のアルバムが日本限定でリリースされています。以下がその一覧です。

本作
洪水(ヘッドハンターズでのライブ盤)
VSOP ライブインジャパン
ダイレクトステップ(ヘッドハンターズ)
ザ・ピアノ(ピアノソロ)
ブラックオクトパス(ポールジャクソンのソロ)
バタフライ(笠井紀美子さんとの共演)

これだけの数のアルバムが限定販売されてほぼ毎年のように来日していた70年代後半の日本はハービーのファンには天国だったはずです。



翌日に録音されたデュークエリントンメドレー収録の本作に別の曲でヘッドハンターズが参加しています。