ネット広告費がテレビ広告費を上回って感じた事
前回、noteを始める表向きの理由として取り上げた「ネット広告費初の2兆円超 テレビメディア広告費を上回る」のニュースですが、率直に私が感じたことをまとめておこうと思います。(今更感がありますが、ご容赦下さい)
私の入社時期である2002年頃からの各広告費の推移が分かる資料がないか探したところ、Yahoo!ニュースの不破雷蔵さん(お会いした事は無いですが…)の記事が分かり易かったので拝借しました。
ネット広告市場の拡大
これを見ると広告市場の全体感とネット広告の成長推移がよくわかると思います。ただ、18年間この業界に身を置いている私からすると、ネット広告がテレビ広告の市場を抜いたこと自体はある程度既定路線であり、むしろ結構時間が掛かったなと言う印象です。当時はテレビ広告やプロモーションメディア広告(屋外・交通広告など)がもっと影響を受けて減少するだろう、更には企業の広告予算は単純にネット広告へ取って代わられていくと言う考え方が強くありました。今思えばかなり浅はかな考えでした。
勿論、新聞・雑誌・ラジオは特に減少傾向ではありますが、広告市場全体は増加傾向であり、ネット広告はそれ以上に増加しています。シェアで言えば、2002年のネット広告の市場規模が845憶円でシェアは約1.5%程度だったのが2019年には約30%まで拡大していることからも、各広告の利用目的や効果の違いが明確になり、ネット広告の価値もしっかりと企業に認識されてきたと言えると思います。
2兆円を超える規模になっても依然として115%近い成長率であることに驚くのと同時に、もはやネット広告とマス広告を切り分ける意味が薄れていると感じます。いわゆる、従来型の調査は連続性として必要なのかもしれませんが、今後の指標としては、目的別や企業規模別などがあっても良いと思っています。
私たちの仕事は市場創出に貢献できているのか?
最近になって思うのは、私たちがやってきた仕事(今もやってますが)は単純に広告市場のアロケーションを行う仕事ではなく、ちゃんと価値を生み出す仕事が出来ているのか、もっと言えば、ネット広告と言う新たな『市場創出』に貢献できているのか、そんな自問自答です。
これまでのネット広告の成長は、企業のネット広告予算が増えたのか、企業数が増えたのか、またその両方になります。そういう意味では広告市場の全体の拡大とネット広告のシェアの増加という二つの事実は、そんな問いに対する一つの答えになっていると思っています。
私たちの仕事は、『広告成果』でお客様(企業)の事業に貢献していくことが最大の価値であり、結果としてネット広告の市場の創出につながる。それはやりがいのある仕事です。その事を改めて認識しつつ今のコロナ状況に向き合っていきたいと思います。
「透明性」の重要さ
ただ、これだけ影響力があり、且つ今後の成長性もあるネット広告において、大きな問題が一つあります。「透明性」の問題です。
実は、AI領域で言われているFAT(Fairness:公平性、Accountability:説明責任、Transparency:透明性)の考え方は、ネット広告、ひいてはデジタルマーケティングにとっても重要なテーマとなっています。具体的には、広告取引の構造、アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティ、フェイク、ステマ、更には個人情報の取り扱いなど、今まさに問題視されている事象です。市場を牽引する者として、またネット広告で仕事をさせてもらっている身として、これらの問題に目を背けず、ハートラスとしても真摯に向き合っていきたいと思います。
このテーマは長くなりそうなのと、最初と言うことで少し堅めの内容になってしまったので、今回はこの辺にしておきます。ではまた。