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WhyKumano「オンライン宿泊」から見えるサービスの新たな可能性
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、オンラインのサービスが増えてきている。
先日は、和歌山県の那智勝浦町でゲストハウス・カフェを運営する「WhyKumano」の「オンライン宿泊」を体験した。ここで感じた、オンラインによるサービスの可能性について記したい。
「オンライン宿泊」とは?
ゲストハウスとは、見知らぬ者同士がともに一夜を明かす、出会いの場だ。
「オンライン宿泊」はそれをオンライン上で疑似体験できるようにしたもの。今回は、Web会議ツール「Zoom」を使い、以下の体験をした。
・オンラインチェックイン(ライブ動画でチェックインや館内説明を疑似体験)
・オーナーと参加者の自己紹介
・Google Mapを使った那智勝浦・熊野の紹介(参加者も、自分の住む地域の紹介をした)
・写真共有アプリを使った、参加者同士の写真の共有と、写真にまつわる思い出話など
オンライン宿泊の料金は1回1000円で、当日PayPay払いをした。以下の記事に詳細が紹介されているので、参照していただきたい。
オンラインに感じた3つの可能性
オンライン宿泊を通じて感じたオンラインの可能性について3点、記したい。
可能性1.リアルでは参加できなかった人が参加できる
自分が参加した回には、7人の参加者がいた。関東が中心だったが、香川(自分)、静岡のほか、フランスからの参加もあった(これまでに、インドやブラジルからの参加者もあったという)。
ネット環境さえあれば参加できるオンラインのイベントは、リアルでは参加できなかった人が参加できるチャンスになる。
この点は、宿泊に限らず、さまざまな可能性を拓いてくれるのではないかと思う。
自分が感じたのは、子育て中のママさん・パパさん向けオンラインサービスの充実だ。
小さな子どもを育てていると、家から出ることが難しい(自分は子育てしてないけど、知人からよくそう聞きます)。
子どもをあやしながら参加できるオンラインサロンみたいなものがもっとあると、子育てで追い詰められるママさん・パパさんが多少なりとも減るのでは、と感じた。
可能性2.1つの話題を掘り下げやすい
リアルのパーティー・飲み会では、最初の自己紹介や主催者挨拶の後は、気が合う者同士のグループに分かれることが多い。
ただ、「Zoom」のようなWeb会議ツールでは、「1人が話すのを、周りが黙って聞いている」というコミュニケーションスタイルになる。
これは、気楽な飲み会にはちょっと不向きだが、1つの話を掘り下げるのには向いている。今回のオンライン宿泊では、「互いの住む地域の魅力を紹介し合う」というテーマで皆が話した。旅好きが集まっているためもあって、盛り上がった。
逆にいえば、旅の話から恋愛トークに、といった脱線はしづらいように感じた。
(そのうち、こういうグループ分化・脱線もしやすくなる機能をもったWebサービスが開発されるかもしれないが)
可能性3.チャット機能でリアルにないコミュニケーションができる
リアルでのセミナーの場合、「講師が話し、その後で質問者が質問する」と、基本的に話者は常に1人だ。飲み会やおしゃべりグループにしても、事情は変わらない。
ただ、ZoomなどのWeb会議ツールでは、話すのと同時並行で質問をチャットに書き込んだりできる。それを見ながら講師やファシリテーターも話を調整できる。これは、リアルにはない双方向性だ。
今回のオンライン宿泊のような少人数のイベントの場合、これはさほど重要ではないかもしれない。
ただ、大人数のセミナーなどの場合、これは非常に有効だと思う。
オンラインサービスの課題
一方で、オンラインにまつわる様々な課題も感じた。
第一に、ファシリテーションの難しさだ。
Web会議ツールは、参加者の表情の機微が読みづらい。また、通信環境が悪ければ、しょっちゅう止まったりする。
そうした中で、いかに参加者を飽きさせないか。ファシリテーターの技能が問われる(今回のオーナーさんのファシリは素晴らしかった)。
なお、ファシリテーターに関しては、会話のリズム感などが「合う・合わない」といった参加者の好みの問題が、リアルよりも一層響いてきそうだ。
第二に、参加者のコミュニケーション能力だ。
オンラインでのおしゃべりには、参加側もそれなりのコミュニケーション能力が要求される。そもそもおしゃべりが得意ではない人は参加しづらいだろう。
また、オンラインイベントに慣れていないせいか、約2時間にわたるオンライン宿泊は楽しかったけれど、疲れもした。多くの人がまだオンラインでのイベントには慣れてないので、主催者側には、こうした点への配慮も必要になるだろう。
(ただ、下手に休憩を取ると参加者の集中力が続かなくなるので、バランスは難しいところだ)
第三に、通信データ量だ。
今回のオンライン宿泊とは別に、先日、個人的にオンライン飲み会を企画した。自分としては、「Google Hangout」を試してみたかったが、「Zoomの方が通信データ量が少なそう」「ウチ、ネットのデータ通信量に制限あるから、なるべく少ないヤツでやりたいんだよね」。そんな意見が相次ぎ、結局Zoomに落ち着いた。
多くの人は、自宅で使えるネットの通信量に制限がある。それも勘案する必要があるだろう。
※ただ、この時の参照データは少し古かったようだ。最近アップされた以下の記事によると、通信データ量はそれほど変わらないようである。
※最近はZoomのセキュリティの脆弱性を指摘する声もある。その辺りも考慮に入れるべきだろう。
もっとも、これらは、工夫次第で解決できそうな問題だとも思う。こうした課題感も踏まえながら、新しいオンラインサービスが生まれることを期待したい。
なお、コロナに対応した新サービスの考案に役立てていただけるよう、こんな記事も書いています。よろしければご参照ください。