Vol.012【軌道上サービス】D-OrbitがArianspaceやSpaceXの打上げにあわせて軌道上輸送を準備中
小型衛星を中心に衛星打上げが本格化しており、2028年には8,000機もの衛星が打上げられると言われています。
衛星が打上げられた後は、軌道変更や燃料補給・修理、デブリ回収など、軌道上サービスも必要になってきます。
<記事>D-Orbitのキューブサット放出サービス
イタリアのD-Orbitは、6月に最初のキューブサット放出機をArianespace Vegaで打上げ、12月のSpaceX Falcon 9を用いたアップデート後の放出機のケイパビリティに繋がると発表しました。
D-Orbitの事業開発担当副社長であるBruno Carvalho氏は、システムを実証し、顧客を揃えた後、2〜3か月ごとにイオン推進型キューブサット放出機1機を打ち上げることを望んでいると語りました。
<記事>デプロイヤー(放出機)とは
D-Orbitの最初のイオン式デプロイヤーは、地球観測のPlanet社の小型衛星「Doves」12を同一軌道にリリースするものだったとCarvalhoは電子メールで述べました。2回目はさらに規模が大きくなり、衛星をさまざまな軌道や高度に移動できる「非常に有能な推進システム」を特徴とする、と彼は言っています。
Carvalho氏は、5月21日、小規模衛星産業グループのAccess Space Allianceが主催するウェビナーで、推進力のあるInOrbit Nowデプロイヤーが衛星を低軌道または中軌道まで運ぶことができると語りました。
InOrbit Nowデプロイヤーは今後、ペイロードをホストし、衛星通信を地上に中継し、衛星を取得して軌道解除する機能も持つとCarvalho氏は述べています。
IONとは、サイズが3〜12ユニットの立方体用に設計され、「InOrbit Now」サービスの頭文字を表しています。これには、宇宙船の打ち上げ、地上管制、保険、その他のミッションの詳細の手配が含まれます。
<記事>今後の打上げについて
Carvalho氏は、D-Orbitは9月以降、最初のIONデプロイヤーの打ち上げを待っていましたが、2019年7月のVegaロケットの故障により遅れたと語っています。D-Orbitは、今年3月にフランス領ギアナのクールーにあるギアナ宇宙センターに12機のDoves衛星を統合するためのチームを持っていましたが、フランス政府がコロナウイルスのパンデミックに対応して宇宙港を閉鎖した後、そのチームをイタリアに強制送還しました 。
Carvalho氏によると、D-Orbitは現在、Vegaの打ち上げが約3週間で完了すると予想しており、D-OrbitのIONとDoves衛星は、52個の小型衛星を低軌道に運ぶアリアンスペースの小型宇宙船ミッションサービスの一部に含まれています。
<補足>D-Orbitが丸紅と業務提携!
ちなみに。
宙畑ニュース
4月14日に、インターステラテクノロジズ(IST)、丸紅、D-Orbit(ディーオービット)の3社は、超小型衛星の軌道投入ロケットに搭載される予定の小型衛星放出システムの研究・開発を行うために業務提携を目的とした協業意向書を締結したことを発表しました。
<記事>D-Orbitのサービスの強み
IONは単純なライドシェアミッションよりも費用がかかりますが、衛星が適切な軌道位置に移動するまで待機せず、収益を生み出すサービスをいち早く開始することでコストを取り戻すことができるとCarvalho氏は述べています。彼は、IONが数週間で衛星を希望の高度と軌道面に移動できると推定します。
D-Orbitは、2020年、2021年に予定されているSpaceX Falcon 9ミッションで複数のVigorideシャトルを予約したカリフォルニアのスタートアップMomentusと競合しています。ランチャーを分離した後、特定の軌道で宇宙船を降ろします。
<補足>軌道上サービス纏め
結局いつも宙畑さんなんですが、軌道上サービスをわかりやすく分類して参入事業者を紹介していますので最後にご紹介しておきます。