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『鶴かもしれない2022』EPOCH MAN

2022年2月23日(水・祝)
19:30開演(上演時間70分)
@本多劇場
¥5,000

みっちーこと小沢道成くんのライフワークになりつつあるという作品。今回で5演め! すごいな。アタシは2020年の駅前劇場横浜のふたつを観ているので、3回目だ。(過去の記事はそれぞれの会場名にリンクしています)
2回観てるので、今回はどうしようかなとためらっていたが(世の中の状況にビビって仕事を減らしたんでお財布が軽いの)、やはり気になって直前に予約して初日に飛び込んだ。

ギリギリで取ったため、お席は後方の端っこ。もちろん不満はなかったけど、観終わったいまは「せめてお顔がわかるくらいの席でもう一回観たい」若しくは「オペラグラス持っていけばよかった」。ここ数年ですごく目が悪くなったので、本多レベルでも後方席だと顔が見えない・・・。生き物のとしてのスペックは落ちる一方さ。
それでも絶対に、観てよかった。」それだけは確か。

今回で4度目の上演となる代表作『鶴かもしれない』。
2014年、明大前の小さなギャラリーで初めて上演。その後、2016年にOFF・OFF シアター、2020年に駅前劇場と、
劇場が変わるごとに着実にスケールと深みを増してきた本作が、いよいよ演劇の聖地・本多劇場で上演。
 
本作の見どころは、童話『鶴の恩返し』をベースに現代へと置き換えた、犠牲的な女の愛。
命を助けてくれた男のために自らの羽をむしりとって機(はた)を織る鶴のように、愛する男のために女は尽くす。
その生々しい恋愛心理を、ユーモアとアイロニーに満ちた台詞で、時に鋭く、時に滑稽に描き出し、観客の共感を誘う。
 
そして、もうひとつの見どころが、ラジカセを使った遊び心あふれる演出。
小沢は3台のラジカセに台詞を吹き込み、それと会話をすることで、女と男のやりとりを表現する。
一風変わった「ひとり芝居」のスタイルは、今回も健在。
そこに本多劇場ならではの新たなギミックを盛り込むことで、自らのライフワークとなっている本作を2022年仕様にリブートする。
 
音楽、美術、衣裳、そして物語も新たに構築した新演出版「鶴かもしれない」一人芝居の枠を超えた本作が、本多劇場に降り立つ。

↑のintroductionは公式サイトからの引用だけど、横浜版は回数に数えられてないのね・・・

※ネタバレ気にせず書いておりますので、気になる方はご注意を

新演出版で、色々と変わったこともあるけど、芯は変わらない。
2020年版ではかなりエキセントリックなヘアメイク+ぴかぴかミラー仕上げで近未来っぽい美術。全体的にスタイリッシュなイメージだったけど、今回は少しかわいい感じのメイクで、テーブルを組み合わせたようなシンプルな美術。まったく違うイメージだけど、どっちも素敵。

序盤はコミカルで笑う場面も多くて、なのに想いが行き違って最後には・・・と、ストーリーもあらすじを説明すれば“同じ話”ではあるのだけど。
今回の鶴子は生い立ちというか、田舎住まいだった話もあって前回より人間ぽくなった気がする。のが、余計哀しい気もするし、ラストでぼろぼろになりつつも地面に足をつけて立ち上がっていけそうな強さも感じる(個人の感想です)

私には何もないと、夢を追うミュージシャンに体を売って貢ぐしかできない女。でも今回は田舎に帰って(お金のかからない=売春せずにすむ)生活をしたいという彼女の夢があったよね。男が若すぎて東京を離れるなんてあり得ないって考えの人だから実現しなかったけど、男がもう少し大人で「じゃあふたりで田舎に住もう、音楽はネットでやるよ」って言ってくれたら良かったのにね・・・
自己肯定感の低い鶴子を掬い上げられるひとだったら。
体がお金になるのも、ストーカーまがいのことしても受け入れられるのも、若くてきれいな期間限定だから、早くしないと!(何を)

詮無い「たられば話」をしてしまった。そしたらストーリーが変わってしまう。
傷ついた鶴を助けたことは、鶴にとっていいことだったのか。そのまま死なせてほしいと思っていたかもしれない。大丈夫ですかと優しい声をかけた若者の、優しいけれどもその軽い気持ちでした行動が傷を深くしたわけで。


あ、オチもない意味もない思考の海に浸ってしまった。失礼。
というわけで、余韻がすごい。
カーテンコールが3回あって、2回目から半分くらいの人(もっとかも?)スタンディングオベーション。恥ずかしそうに挨拶するみっちー、さっとひっこんでしまうのは体力的にも精神的にも大変なのかなあ。
終演のアナウンスが流れても、まだちょっと拍手が続いてた。アタシも(もう出てこなくていいよー)と思いつつちょっとだけ拍手した。

後から感想を掘ってみたけど、本多が満杯とかパンパンの初日って書いてあるのをたくさん見かけたけど、うんと後ろの席から見たら空席まだまだ多かったよ。それがもどかしい。もっとたくさんの人に観て欲しいよ。
でももう、残すところあと1ステージ。できるだけ当日券が捌けますように!!!!
無事の完走を祈念。

追記。
無事に完走したとのことで、おめでとうございます! 千秋楽を見届けたかったけど、仕事だったので断念。
メイキング映像にカーテンコールが収録してあるそうです。私もあとで見る!!!
『メイキングかもしれない』最終回

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