田中宏美の事を探っていた敦だったが、高校生と出会える場所、と言うことで、しばらくの間、駅で待ってみた。

高校生たちなら、電車を利用するだろう。

高校生らしい子が通る度に「君、ちょっといいかな?」と声をかけていた。

それなのに素通りしていく高校生。
その姿を見ていたおそらく駅係員からの通報により、警察官まで出没して駅構内は一時騒然としてしまう。

「君、こんなところで何してるの?ーー若い子ばかり捕まえて話そうとしているようだけど、、」

これがいわゆる、ショクムシツモンって言うやつか。
これまでこんな事は一度もなかったのに、どうしてこんなタイミングでーー。

「ちょっとこっち来てくれる?」

連れ去られる場所はもうあそこしかないだろう。駅チカにある交番。

通りすぎる人々が冷めた目で、こっちを見ながら通りすぎていく。

「ーーあの人、何をしでかしたんだろう?」

そんな声が聞こえて来そうな冷たい視線だった。
黙ったままの敦は、警察官につれられ交番に向かう。

「1本だけ電話していい?」

敦は軽く聞いた。

「あぁ、構わないよ!」

警察官も軽くオッケーしてくれる。敦はすぐさま、マモルに電話をした。
例の件を調べている最中に、職務質問をされ今交番にいること。
身元引き受け人になって欲しい、との要望を添えてーー。

いいなと思ったら応援しよう!