死んだ三人の回想、望
9月9日10時45分。
沢口望。
友人と電話で話していた。
友人の名前は、柿崎努ーー。
特段、変わった話しはしていない。
「そういえばさぁ、昨日のドラマみた?」
「昨日、塾でさ。録画はしてあるんだけど、まだ見てないんだ。どうだった?面白かった?」
努は聞いてきた。
「うん。そこそこ面白かったよ!」
「楽しみだな。今日見るからさ、明日話そうぜ!」
「うん。わかった」
そんな普段のやりとりをして受話器を置いた。それからすぐだった。
見知らぬ携帯番号からの着信がなったのはーー。
手が震える。
「もしもし」
「ーースズメ」
一言だけ告げられ、電話は切れた。
意識が遠くなる。
足が目的地に向かう。
そして最寄りの駅ーー構内に入る。
ボンヤリとした頭で、一歩を踏み出す。
そのタイミングで、電車が通った。
ーーグシャ。
そんな音がとどろいて、電車が止まる。
電車の中の乗客が騒ぎだす。
「やばい。人身事故に遭遇したんだけど」
突然、電話をかけ始める高校生。
本来はダメなんだろう。
電車で電話をするなんて、だが、何かしていないと落ち着かないのも頷ける。