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いつもといつかのお正月
2022年1月1日(土)
「お正月らしさ」は、誰かの努力によって成立していたものだったのだなと、いつもと変わらない朝を迎えて思う。
6時過ぎに、隣で寝ていた子がむくりと起きてくる。年越しも正月もまだ理解していない一歳児には、「昨日なんだかんだで年が明けるまで起きていたから、眠い」なんて言い訳はもちろん通用しない。しばらくすると遊びたそうに「まま!」と騒ぎ出したので、しぶしぶ隣室の夫を呼んで自分も
喪服でブランコに乗りながら
祭壇で花に囲まれた祖母の遺影を見つめながら、今年の春大好きだったテレビドラマを思い出していた。
そのドラマには好きなシーンがたくさんあるのだけど、お経を聞きながら思い出すのはやはり死にまつわることばかりだ。主人公とその元夫たちが喪服でブランコに乗っていたこと、母の遺骨を抱えて仕事に行ったこと、親友の葬儀の日がとても良い天気だったこと。
頭の中でそれぞれのシーンを再生しながら、つくづく、良いドラ
いつかのハムスターとme and youについて
2021年5月19日(水)
毎日分単位のto do listを上からこなしていくような生活をしていたら、すっかり思考が上滑りするようになってしまった。何を見ても読んでも、時間だけが気になって途中で止めてしまう。
珍しくドラマはよく見ている。『大豆田とわ子と三人の元夫』と、『珈琲いがかでしょう』と、『あの時キスをしておけば』。能動的に読み解かなければいけない文章よりも、傍観者で居続けられる映像作品
次の楽しい夜のために
2021年2月13日(土)
夕方になって泣き続ける子の寝かしつけに手を焼いて、お互い冷静になろうと抱っこ紐を付けて外に出た。
昨年、臨月で引っ越した(強行突破でかなり緊張感があったのでお勧めしない)マンションの裏には遊歩道があって、車も通らないし人通りも少ないから、乳児の散歩にはとても助かっている。仮に泣いたとしても、子どもがいる世帯が大半なので大目に見てもらえるという安心感もある。
だいぶ
花束みたいな恋は忘れたけれど
2021年2月12日(金)
大学時代の先輩から久しぶりにLINEが来る。結婚をお祝いしてもらったとき以来会えていないから、もう3年ぶりだ。上映中の映画『花束みたいな恋をした』を観て、是非ともお勧めしたくなったとのこと。脚本は、ドラマ『カルテット』や『最高の離婚』の坂本裕二だ。
私が『カルテット』が大好きだということを先輩に言ったっけ、と思う。たぶん言っていない。それでもお勧め先として私を選んでく
ライブハウスのモスコミュール
甘いお酒をあまり飲まなくなってから久しいけれど、ライブハウスでドリンクを引き換えるためにカウンターに行くと、つい「モスコミュールで」と言ってしまう。ビールでも、ジントニックでもなく。
一番ライブハウスに通っていたのは、大学生の頃だ。卒業するまで東京の西の端っこの実家住まいだったから、オールナイトのクラブイベントは行くことを許されず、終電までに帰れるライブが、音楽を最も間近で感じられる場所だった
旅の途中とこれからの始まり
二度目の転職にあたって1ヶ月間休暇を取って、そのうちの半分くらいを海外旅行に費やすことにした。前半は以前から予約していた新婚旅行、後半は、土壇場で決めたアメリカ旅行だ。そして私はいま、サンフランシスコからロサンゼルスへの飛行機を乗り逃し、どうにか数本後の便に変更してもらい、今度は乗り遅れるなと念を押されたので、おとなしく55番ゲートで待っている。搭乗時間まであと1時間。
大学の友人が数年前から
私たちはどこへ行っても
よく晴れた4月の土曜日。新卒の頃から仲の良い同期の友人たちとランチをした。前回会ってから、いつのまにか半年近く経っていた。
2人とも1年ほど前にママになったばかりだから、ベビーカーに乗った娘さんたちも一緒に来てくれた。生まれて数ヶ月の頃に一度会っていたけれど、もう自分の足で歩いていて、「赤ちゃん」ではなく「女の子」になっていた。 そして、私の友人たちはかつての柔らかな可愛さや明るい芯の強さはそ
ひとりでそうかとうなずくんだ
春になりきらない隙間の季節には、フィッシュマンズの音楽がよく似合う。特に、3月15日には。
その日は外で仕事をしていたので、久しぶりにアルバムを通して聴いていた。高校生のときから繰り返し聴き続けているから、リズムも音も歌詞もメロディも、身体の一部みたいに馴染んでいるのだけど、ふと、意識が言葉を捕らえた。
ドアの外で思ったんだ
あと10年たったら
なんでもできそうな気がするって
でもや
2:33 a.m. タクシーの中で
終電後、都心から少し離れた家に向かうタクシーから見える景色は、どうしてこうも似通っているのだろう。ずっと眺めていると、昔住んでいた場所に帰っていきそうな気がする。
大学生みたいにはしゃいだ、同い年の友人たちとの宅飲みの帰り道。記憶をなくしていない程度に酔ってぼんやりしていると、帰る方向が別の友達が手際よくタクシーをつかまえて、先に乗せてくれる。本当に良い友達をもったな、と思う。窓の外の笑顔に手
通勤電車のセレンディピティ
イヤホンで音楽を聴きながら外出していると、時折、心を見透かされたようにぴったりの曲が流れることがある。
ちょうどゼロ年代を学生として過ごしたわたしはたぶん、データで音楽を聴き始めた最初の方の世代だと思う。高校の入学祝いを母に買ってもらうとき、iPodかベースかで散々悩んで、iPodにした。実家から高校が遠くて、片道1時間半は電車に乗らなければならなかったからだ。確か15GBのモデルだったと思う
中間色のようなものごとを
長い間、ネイルが苦手だった。
不器用だからマニキュアは上手く塗れないし、たまに成功したとしても、完全に乾くのを待つ余裕がなくて、うっかり指先をひっかけてだめにしてしまう。ジェルネイルはその心配はないけれど、そのまま爪が伸びていくのがうっとうしいのと、オフするのが面倒で、ここぞというときの数回しかやったことがない。
そんなわたしが最近、ちょこちょことセルフネイルを始めている。きっかけは、sh