【シロクマ文芸部】始まりは信号待ちの交差点🚙エッセイ
始まりは信号待ちの交差点だった。大きな交差点の先頭で信号待ちをしていたあの日、私は出会ってしまったのだ。あの黒くて小さくてカッコいいヤツに。
信号待ちをしていた私の目の前を横切っていった1台の車に私は目が釘付けになった。
その車は、黒くて軽より少し大きい位で、天井がガラスになっており、なによりリアが途中で切れていた。パッと見た感じはグランドシビックなのに、リアが短いその車に私は一目惚れをしてしまった。
「え?何あれ?シビック?カッコいい」
その車が気になるあまり、帰りにコンビニに寄りカー雑誌を買った。雑誌によると、その車はホンダのサイバースポーツというキャッチコピーを持つCR-Xという車だった。当時、私はシビックは知っていたけどCR-Xの事は知らずにいた。
CR-Xはリアが短い分、車重が軽く走りがいいのだそうだ。だけど、私は走りの事なんかはどうでも良かった。見た目を一目で気に入ってしまったのだから、走りが早かろうが遅かろうがそんな事は関係ないのだ。
その日から私の頭の中はCR-Xの事で一杯になった。寝ても覚めてもCR-Xの事ばかり考えていた。会社でCR-Xがいかにカッコいいか力説するも「そう?シビックの方がいい」「言ったら悪いんだけど、ゴ〇〇リみたい」などと言われ、なかなか賛同してくれる人はいなかった。
それでも私は折れる事なく、ひたすらCR-Xの事を思い続けた。
不思議なものであの日以来、車で走っているとよくCR-Xを目にする様になった。その度に私は目が釘付けになりときめくのだった。赤やガンメタなども走っているけど、やっぱり断然黒がいいなと思っていた。
CR-Xに恋焦がれたある日、私はついに商談に行ってみた。一人で行くのは怖かったので、友達についてきてもらった。恐る恐る中に入った私達に若い営業の人が対応してくれた。
現車を見せてくれたけど、間近で見るCR-Xはめちゃくちゃカッコよかった。ますます胸がときめいた。商談をする時も夢見心地でとても楽しかった。作ってもらった見積は、ノーマルの1.5Xの黒のグラストップの5速だ。私は走り屋ではないし、峠も攻めないので1.5Xで十分だ。
見積金額は、軽よりは高いと思ったけど、払えない金額ではなさそうだった。
家に帰り、もらったカタログを眺めていると、親から声を掛けられた。
「何それ?」
「あー、車屋さんに行ってきた」
すると、今乗っている車も長くならないので(まだ2年ならない位)買い替えはダメだと反対されてしまった。
恋は反対されると燃え上がるとはいうけど、私のCR-Xに対する熱も反対されてさらに燃え上がってしまった。ちなみに、件の営業の人から電話があったらしいのだけど、知らない間に親があっさりお断りしていた模様だ。
それからしばらく経った頃、私は車屋さんに転職した。それは、CR-X好きが高じて車好きになってしまったからだった。
そのせいか、例の因果な出会いもあったし、車屋さん稼業はいまだに続けているし、なぜか結婚もした。どうやらCR-Xのおかげで人生さえも変わってしまった気がする。
今の私の人生を辿ると、その分岐点はあの日交差点で見掛けた1台のCR-Xに夢中になった事に他ならないと思っている。
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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「始まりは」です。
本当は、恋の創作でもしようかと思っていました。
だけど、なぜか車の話のエッセイになっちゃいましたw
本文中にシビックの名前も出ましたが、CR-Xとシビックは兄弟車なんです。マークⅡ3兄弟とかレビンとトレノみたいな感じです。
あの時に出会ったCR-Xが私の人生を変えたのかもしれません。
あの時の熱ときたら、まさしく恋そのものです。
車屋さんに転職して、念願叶って乗る事ができました。乗りたくてたまらなかった1.5Xのグラストップに。
とてもコンパクトで、運転のしやすい車でした。
ただ、グラストップって夏はたまらんですw
私、自分の車にサンルーフを付けていましたが、それよりキツイ。
グラストップってサンシェード付いていたっけ。どうだったのかな。サンルーフにはサンシェードは付いていたんですけど。
⭐追記
ちょっとググりましたら、グラストップは内装と一体感を出すためにあえてサンシェードレスにしていた模様です。だけど、オプションで後付けのサンシェードがあるようでした。
そして、リアシートの狭さは異常(笑)
あの狭さはもう座席とは言えません!!ただの荷物置き場ですww
だって、4ナンバーの軽貨物のリアシートより狭いんです。
最後はちょっとデメリットも書きましたが、憧れの車に乗れた事にはとても満足しています。今は旧車がブームですが、今でも乗ってみたいなぁとわりと本気で思っています。
シロクマ文芸部の記事なのに、後半は誰得なマニアックな文章を長々と書いてしまってごめんなさい💦
好きなものだと、つい熱く語ってしまう習性があるんです。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪