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【シロクマ文芸部】最初で最後のスキー体験・エッセイ


雪が降る事はあっても、なかなか積もるところまではいかない地域に住んでいる。

北部九州は意外と寒い。雪もちらちらと舞うし、冷たい風が吹いていて本当に寒い。けれど、なかなか雪は積もらない。年に1〜2回積もる時はあるけれど、その時は渋滞したり事故が起きたりで大変な事になる。雪国の方が見たら、きっと屁でもないような雪で大騒ぎだ。

そんな地域なので、スキーなどはわざわざしに行かないと経験する事はない。

その昔、まだ日本の景気の良いバブルと言われる時代の事だ。あの頃、「私をスキーに連れてって」という映画が上映される程にスキーが流行していた。イケてる若人は雪の積もらない九州から脱出して、夜行バスや車で本州のスキー場(大山など)にスキーに行っていたようだ。

私はといえば、元々運動は苦手だし、寒いのは苦手だし、周りにスキーが趣味の人がいないしでスキーを経験せずに過ごしていた。このまま一生スキーを経験する事はないのだろうと思っていたのに、ひょんなことからスキーを経験する事になってしまった。

ある時、とある場所に人工スキー場がオープンする事になった。九州にスキー場!?と思った事を覚えている。行く人なんているのかと思ったものの、意外と流行っているようだった。

オープンから数年たった頃、ついに私はスキーに誘われる事になったのだ。

当時勤めていた会社では割とみんな仲が良く、店休日にはたまにみんなで遊びに行く事もあった。
「みゆちゃん、今度みんなでスキーに行くけど行くよね」
「スキーやった事ないんですけど。道具もないし」
「ああ、大丈夫。教えてあげるから。道具もレンタルできるからさ、行こうよ」
私は、こういう時は大体参加していたので、スキーも参加する事にした。
スキー、やった事ないけど大丈夫だよね?なんて思いながら。

スキーに行く日、何台かに分乗してスキー場に向かう。初めての事をするのは不安だけど、ワクワクもするもので、子供の頃の遠足みたいな気持ちで少しドキドキしながら車に乗っけてもらった。

車は快調に山道をぐんぐん登っていく。途中、ウエアやスキー板や手袋などをレンタルしてスキー場に入る。入場料やリフト券を買い、ウエアに着替える。

ゲレンデは人工雪だったけど、あたり一面雪が積もっていてとても新鮮に感じた。

その日集まった人のうち、未経験の人は半分くらいいた。なので、経験者の人とペアを組んでリフトに乗る事になった。リフトに乗る時、すごく緊張した。なんとか乗ると、リフトはスムーズに登っていく。ところが問題は降りる事だ。横に乗ってくれた人に教えてもらい、こちらもなんとか降りる事ができた。

その後、いよいよスキーでゲレンデを降りていく。滑り方や止まり方を教えてもらい、そろそろと滑ってみる。ゆっくり滑り出すと、思っていたよりスイスイと滑る事ができた。ところがだ。止まり方がいまいち上手くいかなかった。仕方がないので、お尻から転んで止まる事にした。そんなにスピードが出ていないので、そんな止まり方でもなんとかなった。

それからは1人でもリフトに乗り、自分なりに滑っていた。転んで止まったり、上手く止まれたりだった。そんな調子だから、すぐに手袋が濡れてしまって手が冷たい冷たい。そのうちお昼を食べようとレストハウスにみんなで行った。濡れた手袋はストーブの前で乾かし、何を食べたのかも覚えていないけどお昼を食べて休憩した。

お昼からもスキーをしたり、ソリで遊んだりした。みんなで散々遊んでくたびれて帰る事にした。また来た道を戻っていくのだけど、1日遊んで疲れて眠くて寝てしまいそうになる。でも、運転手をしてくれている人に悪いから一生懸命頑張って目を見開いた。

翌日、全身筋肉痛になっていた。仕事だったけど、体が痛くてたまらない。でも、翌日に筋肉痛になるのは私が若いからなんだわと思ってしまった。

初めてのスキーは思っていたより上手く滑れたし、それに楽しかった。最初はどうしようかと思っていたけど、思い切って行って良かったなと思った。
そんなスキーの経験だったけれど、それからはスキーをする事はもうなかった。
私にはスキーを趣味にする熱意はなかったし、スキーが趣味の友人もいなかったからだ。

そんなこんなで、スキーをする事なく日々が過ぎていく。

それから、バブルは弾け、スキーのブームは終わり、日本の景気は悪くなり、コロナ禍を経てあのスキー場は閉鎖されてしまった。あのスキー場にはたった1回しか行った事はないけれど、それでも私の楽しい思い出の場所だと思っている。


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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「雪が降る」です。


ユーミンの曲も軽快な楽しい映画です😊



今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪



#シロクマ文芸部
#雪が降る

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