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高次脳機能障害12
兄はリハビリ病院を退院してから、自宅近くの小規模だけど入院もできる病院に通院することが決まっていた。
私がついて行きやすい距離だし、退院間近までは、通院で言語のリハビリを受けられると言うことでここに決めた。
ただ、退院1週間前に急に言語聴覚士の方が辞めたらしく、通院でのリハビリはできなくなってしまった。
ソーシャルワーカーの方と相談して、通院はこの病院の脳神経外科と循環器科にして、リハビリは医療保険を使って訪問でということに決まった。
兄は傷病手当をいただいていて、現在もまだ会社に在籍中だ。
初診の日、まず脳神経外科に行った。
検査をいろいろして、先生は
「はい、はい。脳梗塞ね。今は問題ないです。まぁ、失語症は後遺症だからね、特に通う必要はないです。心配だったら、1年に1回MRIとってもいいし。はい、いいですか」
と終わろうとする。
えっ?通院しなくていいの?
と腑に落ちないまま循環器科へ。
兄に話しかける先生。
私が
「失語症です。全失語です。」
と言うと、
「あっ、じゃ書いて!」
と兄に紙とペンを渡そうとする。
兄が首を横に振る。書くのも無理だと伝えると明らかに嫌な顔をする先生。
兄はなんとも言えない顔をしていた。
こちらも検査の結果は異常なし。
薬をいただかなくてはいけないので、
1ヶ月に1回の通院となる。
「脳外科も月1回?」
と聞かれたので、通院の必要はないと言われたことを伝えると、また嫌な顔。
そして、これから傷病手当の申請書を毎月書いていただきたいことを伝えると、それはできないと言う。
もう、ここで私はこの病院嫌だなと思い始めていた。
結局、循環器科に5ヶ月通って傷病手当の申請書はなんとか書いていただいたが、(その間3月にてんかん疑いで10日間この病院に入院)
毎月毎月、書いてください!すぐには書けないよ!のやり取りが本当に嫌だった。
終いには兄の目の前で、
「でもこれ、もう復職できないでしょ?」と言われた。
わかってますよ、わかってますけど可能性はゼロではないし、障害者雇用って形もあるし、何より今傷病手当無くなったら収入もゼロになるんですよ!
と心の中で叫んでグッと堪えた。
最後に先生がポツリ。
「どっちにしても僕、8月でいなくなるんですよ。ここ消滅しちゃうけど、どうする?」
はぁ?どうするって何?
違う先生に引き継ぐとかないの?この病院!と心の中で、、、
「わかりました。じゃ、どこか他の病院探しますから」
と伝えて、帰り道は兄と2人で
「なんなの!あの医者!腹立つわあ!」
兄も呆れた顔をしていた。
私はその日からネットで、通えそうな範囲の脳外科を探してみた。
大きな病院じゃなくていい。かかりつけ医として診てもらえるところ。
3駅先に個人経営の脳外科を見つけた。
元々、大病院に勤務していて、手術歴もかなり多く、何より検索していて、その先生のことを名指しで書いてある、どなたかのブログを見つけた。
病名がわからずたらい回しにされ、この先生のところにたどり着いて、命を助けてもらったという内容だった。
その先生は
「大変だったねぇ、あちこち回されちゃったみたいだね、大丈夫!僕が診てあげるからね」
と受け入れてくれたそうだ。
そんな先生なら信頼できると思った。
よし!ここに行ってみよう!
つづく