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学び続ける組織を作るために活きる「デザイン」

このnoteは、MIMIGURI Advent Calendar 2022 の20日目の記事です🎅🎄❄️

MIMIGURI Advent Calendar 6つのテーマ

こんにちは、MIMIGURI 組織探究本部 横断探究推進部 デザイナーのたけうちと申します。

MIMIGURIメンバーで書いているAdvent Calendarも残りあとわずか。

このnoteでは、「学習」「理論(ちょっとだけ)と実践」をテーマに、現在所属している横断組織での取り組みと、私のアイデンティティであるデザインの関わりについて書いていきたいと思います。

MIMIGURIの組織の在り方が少しチラ見できるかと思います。
また、デザイナーとしてのキャリアの築き方を模索中の方にも、何かヒントになれたら幸いです。

MIMIGURIの学習観とアイデンティティの変容

改めまして、現在私はMIMIGURIの「横断探究推進部」という部署に所属しています。

私のバックグラウンドはデジタル系のデザインのため、私のことをご存知の方は「?」となるかも知れません。

MIMIGURIにジョインした当初は私もクリエイティブ組織に所属しており、コンサルティング事業を主務とし、SaaSプロダクトやwebサービス等のUIデザインや、理念浸透開発や新規事業開発等に伴うブランドデザイン、コミュニケーションデザイン等を担当してきました。

現在所属している「横断探究推進部」は、デザイナーやエンジニア、ファシリテーター、PMといった、あらゆる職能の省察的実践家(※1)で構成される組織を横断し、組織開発、知識創造、人材育成、広報活動等を通して賦活する部署です。

「Design Ops」の横断職能版、くらいに捉えていただければ良いかも知れません。

(※1)省察的実践家:アメリカの哲学者ドナルド・ショーンが、不確実な状況に対応していくためには、専門知識インプット型で熟達していく専門家像である「技術的熟達者(technical expert)」では不十分であるとして、新たに提唱した専門家像。 省察的実践家は、直面する現場の不確実な状況の中で、いまいちしっくりこない違和感を感じたり、スッと腑に落ちた感覚を感じとりながらものごとを吟味し、その場の判断でなんとか切り抜け、事後に自分が実践したことを省察し、知を獲得しながら成長し続けていきます。 あらゆる実践のなかで省察を繰り返すことにより、学びを得て成長へと繋げていきます。

MIMIGURI Open Onboarding Bookより引用

デザイナーと名乗りながら狭義のデザインとは異なる業務に就くようになったのはMIMIGURIの「学習観」が大きく影響しています。

MIMIGURIの学習観

MIMIGURIの学習観は図の右側

MIMIGURIでは、学び続ける組織を作るために組織で「学習」の捉え方を統一しています。
具体的には上図のように、コミュニティに参加し、アイデンティティを変容させて行くことをより本質的な学習と捉えています。

MIMIGURIの学習観について、詳しく知りたいかたは下記Podcastをお聞きください。

学び続ける組織の中でのアイデンティティの変容

より本質的な学習を生むための営みとして、MIMIGURIでは「対話」や「省察(リフレクション)」の機会が多く設けられます。

私はMIMIGURIにジョイン後、組織デザイン / 開発や人的資本等についての多くの知を習得し実践する中で、だんだんと興味の対象がデザインそのものよりも「学習」や「発達」に向いてくるようになりました。

そんな興味の変化をどう活かしていくか、
メインサポーター(MIMIGURIではいわゆる上長のことを「サポーター」と表現しています)やチームとの対話と省察を重ね、デザインのバックグラウンドを活かしながら横断組織で組織の仕事に取り組むことにしました。

では、具体的に組織を賦活するためにどのようにデザインのバックグラウンドを活かしているのか?その一例として、チームで学び合うためのルーティンのデザインの事例をご紹介します。

関係性をデザインした、学び合えるチームづくり

はじまりの組織変革:職能性組織からマトリクス組織へ

MIMIGURIでは、以前は職能性の組織(※2)、正確には「価値コミュニティ」という近い探究テーマを持ったメンバー同士のチーム編成が採用されていましたが、2022年9月、今後の事業多角化へ向けての組織変革があり、マトリクス組織(※3)が採用されました。

(※2、※3)職能性組織、マトリクス組織:詳しくは、MIMIGURI Co-CEOミナベによる「組織デザイン概論」をご覧ください。

組織の箱のデザインが変化すると、コミュニケーションパスも変化し、チーム間の関係性、メンバー間の関係性等、多くの関係性が変化します。

そうすると、「あれ…?今までと同じように仕事をしても、何かうまくいかない」という事態が発生します。
それは、携わっているMIMIGURI広報チームでも起きていました。

スモールチーム同士の連携課題

職能性組織の時代は組織人事部門が広報全体をリードし、OKRのプロジェクトとしてメンバーが広報機能を担っており、兼務メンバーも多数といった体制でした。

マトリクス組織へのリデザイン後は、各部門に広報担当が設けられ、並列関係の広報スモールチームが複数存在する体制になりました。

ざっくりイメージ図

体制の変化に伴い、メンバー1人ひとりのスモールチームの役割に対する認識のズレ、コミュニケーションパスの修正の必要性などさまざまなイシューが発生。横断での会議体の必要性や、場の在り方を問い直す必要性も出てきました。

このままではいけない!と思い立った私たちは、組織のリデザインに合わせて広報チームのルーティンのリデザインにも着手。
私はそのPMを担うことにしました。

As-IsとTo-Beの景色交換

リデザインは、お互いの景色を交換するところから始めました。

Miroボードを使用し、先ずは非同期にて課題に感じているAs-Isの景色と、今後こんなことをやりたい、こういう風なチームにしていきたい、というTo-Beのイメージを場に出しました。

非同期での擦り合わせ用のMiroボード

同期でもお互いのこだわりについて擦り合わせることで、お互いのwillを受容し合いながら、優先的に解くべき課題を特定しました。

チームのルーティン(場と行動)のデザイン

こだわりを大事にしつつプロトタイプを進行

次に取り組んだのは、特定した課題を解くための仕組みのプロトタイプづくりです。今回は、「場」とそれぞれの場で期待される「行動」をデザインして行きました。

コミュニケーションパス(情報の流れ)を意識しながら、スモールチーム内での意思決定が滞らない(例えば他のチームに承認を得ないと意思決定ができない、といった仕組みにならない)ように注意します。
また、実践によって得た知見がチーム内でブラックボックス化せず、知が循環するよう意識しながらデザインしていきます。

広報チーム同士の連携では、例えばリリース日が重ならないようにするなど、いつ、どんな情報をリリースするか、といった連携が日常的に必要になります。
こういったチームをまたぐ連携は、場と行動を繋ぐAPIとして広報データベースを構築することで、リアルタイムで他チームの状態を把握しつつ、各チームが自律的に意思決定を行えるようにしました。

場の持つ「意味」へのまなざし合わせ

作成したプロトタイプをたたき台に、みんなでディスカッションを進めました。そうすると、最初は認識がバラバラで、場の必要性すら問われていた横断の会議体の持つ「意味」の認識が揃っていきます。

「お互いに学び合える場にしたい」

「MIMIGURI広報にとっての『アウトカム』とは何だろう?」

「全員が全体性を持って判断できるよう、定例でアラインしていくのがキモなのでは?」

私たちは、横断の会議体の目的を「MIMIGURI広報に全体性を持たせる」こととし、横断の会議体および各スモールチームの営みを通して「MIMIGURIとしての広報の在り方を耕す」ことで目線を合わせました。

場の意味とルーティンをまとめた図

アジェンダの開発と適応

プロトタイプの力によって場の意味の認識が揃った後は、今回の設計からはこぼれ落ちる箇所の検証や対応をしたり、それぞれの場がより実りあるものになるよう、アジェンダの開発をしていきます。

どんな情報が場に出るとチーム同士の情報対称性が上がり、ディスカッションも活性化されるか。そして、次のアイデアや新たな取組みに繋がるか。To-Beから逆算して設計していきます。

走り出したチームでの学び

リデザインされた広報チームのルーティンは、この12月から本格的な運用がスタートしました。

開発したアジェンダは初回から盛大にブレークしましたが笑、
プロトタイプを通して培ったみんなの共通認識や共有している問いこそが財産で、そこに向けて非常に健全なディスカッションができていると感じています。

細部のチューニングが必要な箇所はまだまだたくさん残っていますが、より学び合えるチームを目指し、プロトタイプはこれからも続いていきます。

「デザイン」を活かすプロジェクトマネジメント

さて、チームで学び合うためのルーティンのデザインの事例は以上です。

今回私が行ったことは「プロジェクトマネジメント」ですが、その営みの多くは「デザインのプロセス」そのもの、もしくはそれを通して培われたものであったように感じています。

解くべき課題を特定し、そのための仕組みを作るプロセスはほぼダブルダイヤモンドのプロセスです。

CULTIBASE「デザイン思考の2つの本質的特徴:連載『デザイン思考のルーツから、その本質を探る』第2回」より引用

情報の流れを意識しながら仕組みを設計していくようすは、まるでwebデザインにおけるIA(情報アーキテクチャ)のようです。
PMの方法論は色々あれど、これらはデザインをバックグラウンドにした自分のPMとしての芸風だと考えています。

ちなみに、デザインの対象や領域が広がる中で、私も「自分はデザイナーなんだろうか?」と分からなくなった時がありました。
あえてデザイナーとしての振る舞いを避けた時期もありました。

サポーターやチームとの対話と省察を重ね気がついたことが、デザインの考え方や方法論は、デザインする対象が変わっても活きるということです。
そのため、私はクリエイティブ組織を離れ、横断施策を推進する部門で働く上でも「デザイナー」と名乗っています。

チームで学び合い、複雑な課題へ立ち向かう

冒頭で書いた通り、現在の私の興味の対象は、「デザイン」そのものよりも「学習」や「発達」に向いています。
デザインする対象の変化に伴い、課題も1人で立ち向かうことが難しい、より複雑なものへと変化しています。

ただし、これまで長い間向き合ってきた「デザイン」の営みが、実践と省察を通して新しい興味領域でも活きるという確信を得て嬉しく思うとともに、チームで複雑な課題へ立ち向かう心強さを感じています。

新しい領域での実践は始まったばかりですが、これからも学び続けることができるチームをデザインし、組織を賦活できるようチャレンジしていきます。

🎅🎄❄️🎅🎄❄️🎅🎄❄️🎅

あすのAdvent Calendarはファシリテーターの田幡さんです!



これは11月12日の自分へのアンサーnoteです🧚‍♀️

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