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「自分をいかして生きたい!」

2007年のことです。結婚して東京を離れ、地方で暮らすことになりました。転居先で転職活動をしましたが、多くの求人はなく、それでも一番自分の興味が持てそうな「海外営業事務」の仕事を選びました。

新しい分野の職場は、もちろんこれまで見たことのなかった世界を垣間見ることができて新鮮な部分もありましたが、入社した段階では私ひとり分のお給料が無駄なんじゃないかと思うくらい暇な毎日でした。少しずつ仕事を自分で作ったり、新しい仕事を振ってもらったりしながら、充実感を得ようとしていましたが、仕事が増えても充実感を得ることにはつながりませんでした。平穏だけど、先の見えない日々。「このまま老いていくのかな…。」10年後や20年後を想像してみても、このままOLを続けることに未来を見出すことはできませんでした。そんな日々が苦しくて、働き方について考えるようになりました。

当時は今ほど働き方に幅がなかった頃。今でこそ、リモートワークやら、小商いやら、これまでの概念に縛られない働き方をしている人も多くなってきていますが、まだまだスポットライトは当たっていなかったため、私はそんな生き方があることにも気がつかずにいました。地方の少ない求人の中でできるのは、自分をそこにある求人というピースに当てはめて働くことしかないのだろうか。自分をいかして生きたい。でも方法がわからない。そのもやもやが私を突き動かしました。

当時、私の指針となってくれた本がありました。それは、西村佳哲さんの「自分をいかして生きる」です。タイトルから心を鷲掴みにされた私は、1行1行に深ーーーーーーーーーく頷きながら読み進めました。

どの文章にも、どの言葉にも、共感できる。新しい気づきがある。自分で言語化できずにいたもやもやした思いを言い当ててもらった気分でした。

「私の心にフィットする働き方を探していこう!」

そう思った私はこの時から、「働く」ということについて、社会が決めた枠や固定観念から離れ、軸を自分に戻して行動することに決めました。当時の自分が行動を変えなかったら、今の自分はありません。


これからの働き方を考えている人に、ぜひお薦めしたい一冊です。

……

最後に、本書から抜粋。

『…さらに言ってしまえば、私たちは美容師になりたいわけでも野球選手になりたいわけでもなく、<自分>になりたい。より<自分>になる仕事をさがしている。働くことを通じて「これが私です」と示せるような、そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか。』


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清水美由紀 / Miyuki Shimizu
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