#2 【K-POPがジャンルになったのは、なぜ。リズムのプロが語ってみた】
音楽ファンのみなさん、こんにちは!
はじめまして!25歳から海外でプロドラマーとして活動し、世界の5つ星ホテルやJazz/Bluesフェスティバルでメインドラマーを務め、🇺🇸グラミー賞受賞アーティストと共演してきた Miyukiです。
▼前回記事の振り返り
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これまでの記事でお話ししてきましたが、世界で通用する日本の音楽は、
①海外アーティストとのコラボレーション
②日本の独自の文化とセット
で、世界に結果を残してきました。
一方で、J-POPらしい複雑なメロディと日本文化が持つ4拍子のリズムは、AIの発達により、新たな価値を見出される可能性についても述べてきました。
▼今までの記事の振り返り
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さて、有名な世界の音楽の賞にグラミー賞があり、チャートとしては米ビルボード誌のHot 100、Billboard 200などがありますね。日本人ではこれまで坂本九さんのみがビルボード1位を獲得しただけで、次は39位にとどまっています。
一方のK-POPアーティストは近年ビルボードを賑わせており、BTSはアジア人初の快挙を次々と成し遂げています。
※米ビルボードチャートとは、
アメリカビルボード誌が、ダウンロードや売り上げ枚数 ・ストリーミング(SpotifyやYoutubeでの再生回数) ・エアプレイ(ラジオのオンエア回数) など8項目を集計して作る総合チャート。
※チャートに入るためには、
まずアメリカのチャート集計会社と契約します。8項目の売り上げを集計してもらい、ビルボード誌へに報告してもらう必要があるのです。
ではK-POPとJ-POPの"音楽的な違い"とは何でしょうか。実際に動画で聴き比べてみましょう。
▼K-POPアーティストとJ-POPアーティストを音で比較
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◆ももクロ
走れ kids pop kids
※欧米人が歌以外を再編曲したバージョン
ももクロの『走れ!恋するPUNK PRINCESS』は、欧米人アーティストが再編曲したバージョンだと、歌の部分は4拍子、音源は8拍子のビートになり、日本語の歌詞が耳に入りやすくなっています。
※元バージョンはこちら
→元バージョンで4拍の曲ビートを感じた後に、欧米ver.で(8拍のビート※裏のビートが強い)を感じてみると、かすかな、でも大きな違いが分かってくると思います!
◆Baby Metal
Light&Darkness
一方のBaby Metalは音源が100%欧米寄りながらも日本語歌詞を大切にしている印象です。メインVoさんの声質が「ハリとキレ」があって、「歌メロディから微かに8拍子のビート」を感じるところがとっても面白い!
#マニアック
◆BTS
Boy with luv (日本語ver.)
→世界(欧米系)アーティストとのコラボ曲
BTSの日本語カバー曲は完全に欧米寄りのリズムを取り入れています。細かく言うと、歌には4ビート/8ビートの双方の表現があり、日本語が聞き取りにくい箇所が8ビート(欧米)に寄せてるところです。
※彼らが日本人じゃないから日本語歌詞が聞こえないのではなく、欧米系の音楽に日本語を寄せるとこうなっちゃうんです!
◆Stray Kids
THE SOUND(日本語ver.)
「欧米系ビートに120%寄せ」で、比較的分かりやすいかと思います!
「欧米系120%寄せ×日本語歌詞」だと、日本語歌詞がうまく聞こえなかったり、言葉の高低が違って聞こえませんか?ここで重要なのが、"言語のリズム"が音楽のメロディに大きく影響していることです。
▼「母国語」が音楽のメロディに強く影響している
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まず、言語が持つ「リズム」について英語、日本語と韓国語比較します。
一語に一音が対応する日本語は、歌詞のメロディが複雑になりがちです。一方の英語は、子音と母音の組み合わせで一音となるため、シンプルなメロディになります。
※日本語や韓国語は「一語×一音」
(わたしはあなたをあいしてる13音、サランヘヨー5音)
→必然的に「メロディが複雑」になる
※英語は「子音と母音の組み合わせ×一音」
(I love you=3音)
→音数が少ないので「メロディはシンプル」になる
また、日本語は高低アクセントなのに対し、英語は強弱アクセントでリズムを重視するため、日本語を欧米系のリズムに乗せると、言葉の高低が変わり、歌詞が聞き取りづらくなる傾向にあります。
(※厳密には、英語もprosody・韻律=高低アクセント、音の長短がある)
このような違いがあるので、日本語を「世界(欧米系)リズム」に当てはめると「一語一音」が「二語一音」になって言葉が聞こえにくかったり、「雨/飴」などの「音の高低のアクセント」が実際の発音違ったりして、歌詞が聞き取りづらい。
→世界でヒットしてるKpopアーティストの曲も、韓国人には「ときどき歌詞が聞き取れない、音の高低が違う、へんなところで言葉が切れている」と感じるそうです。
そこで、BabyMetalのように日本語と洋楽のいい塩梅を見つけることが大切になってきます。つまり、世界の"音階、リズム、音質"を理解し活用することで、国内外で受け入れられる作品作りが可能になるのです。
▼音楽家は英会話の上達が早い?
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ちなみに、私は留学も英会話にも行ったことがありません。
でも、「音とリズム」で言語を感じていたので上達が早いみたいです。
例えば、I don't know!はリズムが「タンタッタァン」で「knowノォウ」って音を伸ばすとネイティブっぽい。とか!そして、単語の発音が分からなくても「英語もどきのリズム」で、英語っぽく喋った方が丁寧に話そうとするより相手に通じる。
#中川家の中川礼二の中国語のネタも同じ原理
#タモリさんの各国の言語ネタも
英語の特徴を整理してみると、「韻律がある」、「音の長さが決まっている」、「強弱アクセント」この3つが英語の大きな特徴になります!
ちなみに、日本語は、「音程は一定」、「音の長さはほぼ一定」、「高低アクセント」です。
※こんにちは。げんきですか。明日は雨ですね。
(音の高低が変わると"飴"になる)
これって、何かに似ていませんか?
そう、音楽の3つの構成要素と同じなんです。
つまり、【英語って、歌詞ができた時点で「メロディ、リズム、音質(音の芯の位置)がすでに決まっている」】んです!!
▼英語歌詞はメロディが決まっている
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つまり、
Mommy, I want to eat!
(タターン、タラッタタン)の歌詞は、
Lovely, I take it out!
(タータン、タタタタン)
と同じ「音階、リズム、音質」にはできないんです。
※Google翻訳に喋らせてみてください(^^)
この「英語のリズム」はものすごく奥深くて、メロディのリズムだけではなく、歌の入りの位置(歌いはじめる場所)も日本語とは全然違うんですよ〜!(※後日詳しく書きます!)
※日本人アーティストはこの歌の入りでよく躓いてる
▼K-POPは、東西の融合による"ハイブリッド・ミュージック"
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K-POPは歌のメロディーを英会話のリズムに寄せて、音源のリズムも洋楽120%で表現しています。そこに、若干の韓国語ニュアンスが入っているのがBTSが牽引するK-POPであり、まさに東西の融合による"ハイブリッド・ミュージック"と言えるでしょう。昔のシルクロードのように、東洋と西洋の人々が交わる巨大な交差点のようなイメージです。
イギリスのビートルズが世界に台頭した時も同じ現象だったと言えます。彼らもアメリカン・ロックンロールとブリティッシュ・ロックを融合させ、新しい"ハイブリッド・ミュージック"を生み出したところ、世界中がビートルズに熱狂しました!
こうした歴史は繰り返されると思いますし、次々と新しくて興味深いハイブリッド・ミュージック現象が現れていくことでしょう。(次は間違いなくアフリカ!)
ちなみに、最近だと、日本のTravis Japanが「世界(欧米系)120%」で全英語歌詞で頑張ってます!
Travis Japan - 'JUST DANCE!'
▼まとめ
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英語は言葉自体が"音階・リズム・音質"を持っているのです。このことに気づけば、英語とメロディの関係性が理解できるでしょう。
そして、その洋楽リズムを余すことなく取り入れたBTSやK-POPが生み出した"ハイブリッド・ミュージック"は、今やJazzやRockにように1ジャンルとして世界中に愛されているのです。
長くなりましたが、音楽の世界にはさまざまな可能性と発見が秘められています。ぜひ音楽を通して新しい文化に触れ、理解を深めていってくださいね!