【音楽と読む小説】祈りの歌
まず始めに。
今から書き綴る小説は、こちらの音楽からイメージされた小説を書いています。
もっと深く物語へお連れする為に、ループ再生をオンにして聞きながら読む事をお薦めしております。
ご準備はよろしいでしょうか。
ようこそ。
呪いを断ち切る物語の始まりへ。
この世界では、大罪を犯した者は死神に魂を奪われ異形の物と化すと言われている。
そう教え込まれてきた。
だから、清く正しく、上の者にも逆らわず生きていく。
それが正しい道なのだと、生まれた時から両親や友達、その他大勢に言われて育つ。
俺の幼馴染であり親友の"シーフォ"が突如、行方不明になり。
その後村に「シーフォが王宮の兵士を殺した」と噂が広まった。
真相を確かめるために、俺は王宮がある中央都市に向かい、
そこで出会った「じゃじゃ馬お姫様」を城から意図的ではないにしろ逃亡させたのが原因で王宮御用達の牢屋で地獄のような数日を過ごした。
王宮の牢獄とは居心地の良いものではなく、
罪人同士で闘技場で戦わせるという悪趣味な"悪戯"がある。
幸い、剣の腕は多少鍛えてあり、勝ち進む事ができた。
そこまでは良い。
そうここまでは。
「・・・シー・・・フォ・・・」
勝ち進めてきた俺の目の前に立っていたのは、
かつての親友だったモノだ。
四肢は人間の物ではなく獣のように太く爪も地に深く突き刺さっている。
「キメラ」
観戦者は慄きながらそう言葉にしていた。
身体は獣に近かったが、顔だけは人間だった頃の面影があった。
ソレは脚先に生えた深く長い爪で地を掻き蹴った。
0.3秒剣を構えるのが遅かったら、その爪で喉笛を抉られていた。
寸でのところで爪を剣で跳ね返し、相手は後退しながら着地をした。
「どうなってんだ・・・!」
「シーフォ!聞こえてるのか!お前だろ!・・・シーフォ!!」
必死に呼びかけるが、俺に向ける目は"獲物を捕らえる"そういう眼だ。
シーフォだったモノは縦横無尽に闘技場を駆け、攻撃をしかけてくる。
防ぐ事が精一杯で、完全に捕捉できない。
「・・・っ!」
何度目かに受けた攻撃が、剣を真っ二つにし、剣先が遠くの方に落ちるのが聞こえた。
俺は衝撃で倒れるのを僅かに残っていた足の力で踏みとどまるが、
目の前には太く鋭利な爪が切りかかろうとしていた。
「スオーム!!」
そう言葉が聞こえると、目の前の獣は嵐とともに浮き上がり闘技場の壁に勢いよくめり込んだ。
声がした方を見ると、そこには「じゃじゃ馬姫様」が立っていた。
壁にめり込んだ獣はまだ生きている。
「君はあの扉から逃げて!・・・早く!」
彼女の後ろの扉は厳重に閉められていたはずだが、開いている。
俺は折れた剣の柄を使って立ち上がって彼女に近寄る。
「お前も逃げるんだ!」
そう声をかけようとした時に、獣がこちらに向かって走ってきていた。
「ごめん。君の親友だったんだね。・・・ごめんね」
そう呟き、俺を押しのけて獣の直線上に立ちはだかり、
彼女が右手をかざすと獣の爪を何かの薄い膜で弾き返していた。
「・・・ごめんなさい。苦しいよね。今、解放してあげるから」
彼女は両手を合わせて呟いていた。
しばらくすると彼女の身体から白い球のようなものがいくつも浮き上がっている。
その姿は、まるで魔女の様で聖女でもあるような感じがした。
「リデオン」
その言葉が鍵でもあったかのように、白い球は獣に勢いよく向かって弾けた。
「・・・シーフォ・・・」
以上です。
選曲がアニメのBGMだった事もあり、
ご存じの方はそっちのイメージに引っ張られてしまわないか心配ではあったのですが、梶浦由紀さんの楽曲が好きなので書かせて頂きました(^^)
学生の頃から、サウンドトラック類が大好きでして、
FFシリーズの作曲で有名な植松伸夫さんだったり(昔オーケストラコンサート行った時は生で会えて感動しました!!)
VOICESは生でいってないんですが、コンサート映像めちゃくちゃ良かったですよね・・・!!
また、今回使用させて貰った梶浦由記さん、
あと今いろんなアニメのサウンド作っていらっしゃる澤野弘之さんの楽曲よく聞いています。
梶浦語がまた良い味だしていて、想像力搔き立てられるんですよね。
物語書く時は、どちらかというと日本語ではなく(意味がわかってしまう→イメージが言葉に引っ張られてしまう)洋楽だったり、こういうインストゥルメンタルが私にとってはベストだったりします。
と。物語とは逸れてしまいましたが、
SSとして書き出しましたが、なんだか長編でもいけそうな物語になりました。
ただ、長編を書こうとすると、私の気力(大方、飽きてしまう笑)がなくなっていく気がしているので、ここまでにしますが、
なぜ主人公はお姫様を助け出してしまったのか、
シーフォはなぜそういう噂を立てられてしまったのか、
また「キメラ」になってしまったのは何故?
そして、お姫様がいう「ごめん」の意味とは。
こういった「何故」を膨らませて楽しんで頂ければ幸いです^^
では。また。