風の足跡 第一部 7📗存在・・・久光良一詩集 風の足跡 より
2005年4月に発行された「久光良一詩集 風の足跡」より
第一部 生きてきた日々(19篇) 7 存在
07
存在 久光良一
秋の朝
つばめが窓ガラスにぶっつかって
石のような音をたてた
あっけない終末の影が
目の前をかすめ
壁のむこうに落ちていった
ぼろきれでこすりあげたような
きれいに光る空
風にゆれる街路樹の葉
流れている雲
なんの変りもなくそれらは在った
ぼくは見たそのとき
そんなふうにして死が在ることを―――
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07
存在(そんざい)
秋(あき)の朝(あさ)(')
つばめが(')窓(まど)ガラスにぶっつかって(')
石(いし)のような音(おと)をたてた’
あっけない終末(しゅうまつ)の影(かげ)が(')
目(め)の前(まえ)をかすめ(')
壁(かべ)のむこうに(')落(お)ちていった’
ぼろきれでこすりあげたような(')
きれいに光(ひか)る空(そら)’
風(かぜ)にゆれる(')街路樹(がいろじゅ)の葉(は)’
流(なが)れている雲(くも)’
なんの変(かわ)りもなく(')それらは在(あ)った’
ぼくは見(み)た(')そのとき’
そんなふうにして(')死(し)が在(あ)ることを’―――