終活トーク #16【身近にある相続争い】
夜遅くに家の電話が鳴り誰だろうと思いながら受話器を取りました。
「○○です。分かりますか?」
名前を聞いた途端、電話に出たことを後悔しました。
声の主は40年以上前に私の父と駆け落ちをした女性からでしたので、父の危篤状態もしくは死去の報せだと思ったからです。
駆け落ちした父とは音信不通でしたが、私が息子を亡くしたときに訪ねてくれて、そこから年に1度くらい会いにきてくれていましたが、それも自然と途絶えました。
父と駆け落ちした女性は、私が小学生のときに世話をしてくれていた人で、顔見知りということもあり、お互い距離を取っていたかもしれません。
私は歳を重ねることで、いつしか父の世話をしてくれている女性に感謝をしてました。
そういうこともあり、なんとなく、父に何かあったときは必ず連絡がくるのではないかと勝手に思っていました。
女性は電話口で父が亡くなったことと、私の印鑑証明書が欲しいと言いました。
父の亡き後、父の財産を相続するのは私と父の妻(女性)です。
銀行の預貯金を解約するには、私の書類が必要になります。
遠くにいて連絡もしない私が父の財産を貰おうとは思っていませんでした。
ところが女性から一月前に父が亡くなっていたことを聞いて愕然としました。
そうか、葬式は終わったんだ…と思うとモヤモヤ感が出てきました。
ひと月経って私に父の死去を報せてきたのは、おそらく、タンスの奥から一冊の通帳を見つけて、預貯金をおろすためには私の印鑑が必要だと知り渋々連絡してきたのではないかと邪推してしまいました。
このとき、このまま素直に印鑑を押してたまるかという気持ちが湧いてきて、私自身、この気持ちに驚きました。
今までも些細なことで感情がこじれ、相続争いになることを数多くみてきましたが、私自身が、そんな感情になるとは思わなかったのです。
この感情が混じり合い、こじれて争い事になるかもしれません。
相続争いは誰にでも起こり得ることだと思いました。
とはいえ、父が疎遠な娘より世話をしてくれる女性に財産を渡したいと思うのは当たり前です。
未来信託で女性に全ての財産を渡すように契約していれば、私に連絡をする必要もなく確実に妻に渡ったのです。
相続から切り離して、確実に財産を渡すことができる未来信託が、相続争いを避ける有効な手段だと改めて思った一件です。
アシストライフ
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