オンラインでのサロンコンサート 《シューマン的なブラームス》
年に二回ほど自宅でサロンコンサートをしてきましたが、これまで演奏してきたプログラムを振り返ると、なんというか、本で例えるなら、
『大きな書店の店頭に並べられたベストセラーではなく、古本屋でひっそりと売られている名作』が多い気がします。
最近のお気に入りは、ブラームスの「8つのピアノ小品」。
昔、仲が良かったオーストリア人の友人から、誕生日にこの曲集の楽譜をもらいました。
決して派手ではないし、ブラームスのピアノ作品ならもっと後期のものの方が需要があるので、ずっと棚の中に眠っていましたが、急に思い立って弾いてみたのです。
すると、もう、こんなに面白い曲集をなんで今まで放置していたんだろう!と後悔するくらいハマりました。
曲の概要はこうです。
上記の解説に「シューマンやショパンの作品の校訂を行った…」というくだりがありますが、その影響がうかがえるのが第4番。
この曲は『間奏曲』としか記されていませんが、調性が不安定で、それでいてとてもロマンティック。どことなくシューマン的な感じがします。
あ、〇〇的というのは、本当は不適切ですね。
誰しも多面性を持っていて、ブラームスだって、こんなふうに情緒不安定でロマンチストな部分があって、それも彼自身なのですから。
ただ、この曲のメロディの音名を並べると、どう考えても意図的です。
最初のメロディが Es-A-H-C となっていて、これはシューマンの謝肉祭で使われている象徴的な音符 A-Es-C-H の順序を入れ替えたもの。(謝肉祭は「4つの音符による面白い情景」という副題がついていて、その4つというのが上記の A-Es-C-H (ラ - ミ♭ - ド - シ)または As-C-H (ラ♭ - ド - シ)であり、由来はシューマンのかつての恋人の出身地名(ASCH)とのことです。)
ブラームスは師であるシューマンをとても尊敬し、彼からどれだけ影響を受けたことかわかりません。
逆に、師の作品に関して細部まで理解していたのがブラームス、とも言えます。(もちろんシューマンの理解者としては妻のクララ抜きには語れませんが、ブラームスとクララの関係性は長くなるので割愛します)
なので、この作品はブラームスのシューマンに対するオマージュと捉えるのが自然でしょう。
音と言葉による遊びがコッソリ仕掛けられ、いろいろな想像が膨らむ一曲。
それではどうぞ、お聴き下さい。
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