おかげさまです
※トップ写真は内容とは関係ありません。私はマニキュアを塗るのが本当に下手くそなのですが、O・P・Iのだけはキレイに濡れます。液の伸びがいいのもありますが、お筆が太くてしなやかなので塗りやすいのです。マニキュアが苦手という方はぜひお試しください。
私が最初にカミングアウトしたのは、23歳にもなって初めてできた彼女に対してでした。私は彼女と結婚したいと思いましたし、彼女も一時期そのつもりだったからです。だって結婚したからといって女装をやめられるとは思わなかったから。隠れてこそこそ女装を続けるぐらいなら、結婚前に知ってもらって、もし駄目というのなら別れようと思っていたのです。
彼女から周囲に吹聴されるリスクはありましたが、ほとんどないことだと思っていました。仮にそうなって居場所がなくなったら、ゲイボーイ(当時はまだニューハーフという言葉はなかったと思います)にでもなろうと考えていたのです。
だから伴侶さん(来年で結婚30周年になります)にももちろんカミングアウトして、認めてもらえたから結婚したのでした。その後紆余曲折ありまして、一時期は彼女の前では女装禁止と言われましたが、今は基本的に女性装をさせてもらっています。
昨日は嬉しいことがありました。伴侶さんが英語の勉強のためにメールフレンドにしているアメリカ男性がいます。彼はもちろん日本語の勉強のためです。もう10年以上続いているのかな? 仮にS氏としておきましょう。
S氏が来日するたびに飲みに行ったりしているのですが、私も一緒です。初めてのときはS氏の奥様(日本人です。だったら何で私の伴侶さんとメールしてるの?w)とお子さんも一緒でした。その後は、S氏と伴侶さんと私の3人で飲みに行くようになりました。たぶんS氏の奥様は、向こうが夫婦で来るなら安心と思われたのでしょう。
で、最初の回も含めて4回ほど飲みに行ったと思うのですが、一時期S氏が転職で忙しかったのと、その後コロナ禍が来たので、もう4年以上お会いしていなかったのです。で、ようやくこの年末年始のどこかで久しぶりに来日することになったんですね。
それで伴侶さんが言うのです。「S氏にあなたがトランスジェンダーだということを言ったの」
いわゆるアウティングですが、私は友人たちにもアウティングOK、むしろ広めてとお願いしているぐらいなので全く構いません。
S氏は西海岸のどちらかというとリベラルな地域出身の人なので、「ぜんぜん問題ないよ」と言ってくれたそうです。
「それでね年末ぐらいに来るんでまた飲みに行くんだけど、女の格好で来ていいよ」と伴侶さんが言ったのでした。
私、感激しました。先日もフラのイベントを見に来てくれたんですが、そのときも感激しました。
2年半前に週末だけ男子の平日フルタイム女性装生活に入ったときは、「慣れるまでゆっくり待って」と言われました。それで私も少しずつ少しずつ女性化していき、今は週末もすっぴんですが女性装するようになりました。メンズの服もグッズも今やほとんど持っていませんし、念のために残してあるだけで使うことはありません。
2年半かかりましたが慣れてくれたみたいで、最後に残されていた伴侶さんの家族・親族へのカミングアウトも考えてくれるようになりました。ありがたいです。
夫婦ですから一番大変なんです。これが友人・知人、あるいはお取引先だとずっとあっさりしています。私はカミングアウトが元で友人もお仕事も失ったことはありません。
実は最初のカミングアウトが成功して以来、普通の人が見たら結構リスキーなカミングアウトを結構してきました。たとえば会社の後輩の女性にも何人かカミングアウトしました。ただ男性にしませんでした。男性にもするようになったのは独立して、自営業仲間ができてからです。彼らは何となくわかってくれるような気がして、気が合った人からカミングアウトしていきました。
とはいえ本格的にカミングアウトを始めたのはフルタイム女性装を始めてからです。コロナ禍でオンラインミーティングが主流になっていたのですが、最初はオンラインミーティングの時間に合わせて男装していました。
そのうちそれが面倒になり、それでお取引先にもカミングアウトするようになったのです。それが思ったよりあっさり認められたので、その後は病院やお役所に行くのも女性装で行くようになりましたし、それまでカミングアウトをためらっていた人にもするようになりました。ただ本当に親しい友人は最後の最後で、弟や両親よりもあとでした。
で、結局カミングアウトで失ったものは何もありませんでした。知らないところで何かあるのかもしれませんが、知らないのだからどうでもいいです。あとで知っても、別にいいやと思うでしょう。だってその程度の関係性なのですから。
ただ、やっぱり時期が良かったのだと思います。というより時代が変わったのですね。
こんなツイートを見て、そう思ったのです。
この方はFtMトランスジェンダーで私とは逆なのですが、ご著書を拝読してとても共感し、それ以来ツイッターのフォロワーになりました。直接お目にかかって何か私にもできることがないかお伺いしようと思ったこともあったのですが、お仕事が忙しくなってしまい、いまだ実現しておりません。
TRPというのは「東京レインボープライド」の略で、日本のLGBTQの一大イベントです。私は参加したことはありません。なぜなら訴えたいことがないからです。ですが杉山さんをはじめ、TRPなどでLGBTQのことを知ってほしいと訴えている方々のおかげで今日があるのは間違いないと陰で手を合わせています。
そうほんの6年前ぐらいは東京都もこんな感じでしたし、世間の理解も今ほどではなかったと思います。私がたまたま恵まれているだけかもしれないのですが、カミングアウトしたお取引先様のほとんどでLGBTQに関する教育がされているのだなあと感じます。それもこれも声を上げてくださる人たちのおかげです。
でも自分に何かできるかというと良くわかりません。せいぜいこんなところで文章を書くしかできないのですが、幸せですと書くぐらいのことで、何かお役に立てている気がしません。
それでも本当は順風満帆であったわけでもなく、12歳に女装を始めて以降約45年に及ぶゆるいけれど逃れられない葛藤もあったのでした。でもそれってなかなか伝えにくいところですし、人に言ってどうなるという話でもあったりします。
自分にも何か役割があると信じたいのですが、今のところそれが何かわからないのです。本当にあるのかも疑わしいですし。