miyuki_aidoku

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愛で潤して、毒を吐き出した

子供のころ、父が洗面所で水道を出しっぱなしにしていることがよくあった。 出しっぱなしにしながら鏡の前で歯磨きをしたり、ひげを剃ったり。わたしはそれを見るのがどうも不快で、よく父の前に手を伸ばして蛇口を止めるために、わざわざ洗面所に向かっていた。 もったいないし、ただ流れていく水が可哀想だと思った。その気持ちと同じように当てはまるのが携帯の充電だった。もちろんそのころはスマホではなく、パカパカケータイで、メールアドレスがVodafoneやezwebだった時代だ。 数字がど

    • はじめましてと、乾杯を。

      救われたと言えば、この数年はずいぶんとお酒に助けられた年でもあった。 お酒が気持ちよく飲めるのは、友人と飲むときと、一人でテレビを見て飲むときだ。そしてそれができるということは、時間にまだ余裕があるということだ。 無駄遣いをやめようと思うことを辞めた。本気で辞めなければならない無駄遣いはいざとなれば辞められるもんだし、これらは無駄遣いじゃなく経済を回しているのだ、と自分を甘やかす行為すらも、わたしの通常運転になっている。すべてこの3年ほどの月日のせいにしたい。 意味なく

      • お通しどうぞ。

        わたしにとってこの約3年間は、とても大きな出来事の連続だった。 それは、コロナが世の中を征服したような時間だったからかもしれない。それとも、未知の病を日本がわざわざ狭く囲ったことで、選んだ時間だったのか。 わたしにとっての小さな世界が、コロナという言葉を使うだけでとても大げさになったために訂正を入れようと思う。 たぶん、ただの厄年。 うん、ただの老化である。 簡単なプロフィールとして、わたしは心配性なわりに好奇心旺盛でポジティブ。なわりに、卑屈。 どう転んでも両極端な

        • ごくり、と飲み干したあとに。

          書くことが苦手だ。 学生のころの交換日記や宿題、少し大きくなってからやらされた小論文などもちろん、このころから好きで“書いた”ことはない。 ただ、必要があれば!向き合う機会は数えきれないほどあった。 “しなければならない”と“面倒くさい”が気持ちの大半を占め、苦手という気持ちで向き合ったことはない。 “必要があれば” きっとこの表現は、わたしの人生の大きな意味を持っている気がする。 今日、学生のころからの仲で同じ職場で働いている友人が退職する。 故にきっとわたしは