ベートーヴェン「皇帝」第2楽章でついこだわりたくなるトリル
ノートをご覧の皆様、こんにちは!
ちょっと久しぶりの音楽記事です…
今日のテーマは...
ベートーヴェンの名作、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第2楽章、その中でも演奏する際ついこだわりたくなる連続トリルについてです。
そもそもトリルとはなにか?
トリルはイタリア語「trill, trilla」という音楽用語です。装飾音の一種で、日本語では顫動音と呼ばれることもあります。ピアノの奏法としては鍵盤上の「隣同士の音」を高速で、交互に連打すると書くとイメージがしやすいでしょうか?とはいえ、作品によっては離れた音同士やオクターヴ、オクターヴ+αの音で奏でることもあります。連打の音数は最低3回から、上は数え切れないほど多い時も...笑
クラシックのピアノ作品ではJ.S.Bachあたりから現代音楽まで、多くの場面でお目に?お耳に?かかることができますね。このトリル、実はベートーヴェンの「皇帝」にもかなり沢山登場します。
特にこだわりたくなるトリル:第2楽章後半
全3楽章ある「皇帝」の中でも第2楽章後半に突如現れる連続トリルは、個人的にもかなりこだわりたくなるポイントですし「ピアニストの腕の見せ所」として語られる事も多い場所です。ここは1組1組上昇していく「ただの」連続トリルではなく、それぞれのトリルグループの主音が重要なメロディーとなり、さらにトリル1組毎にピアノの左手+オーケストラのハーモニーが変わっていく。しかもそれがまたなんとも美しいハーモニー連鎖になるのです。
こだわりたくなるポイントは…
それぞれの音の粒だち、音色、メロディーとなる主音の強弱、上昇系メロディーラインのダイナミクス、左手とのバランス、ペダルの踏み方、オーケストラとの音量バランス、タイミング、フレージングなど、もうこだわる所しかありませんね!笑
ではまず、この連続トリルをアップで撮ってみた練習動画をご覧ください(オーケストラなし、練習室のピアノのため調律も整っていません…)
次に「皇帝」の録音で僕が特に好きなものをいくつかご紹介。ピアニストによってもかなり違うのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
美しい第2楽章の中でも特に注目をしてしまうこの連続トリル。ここにベートーヴェンはどのような思いを込めていたのでしょう。何か大切な意図があったはず…
僕は演奏する度にそう考え、時には長時間考え込んでしまうのです…
(©︎ Miyujik Official, 2021)