教員養成フラッグシップ大学の評価における教員就職率
教員養成フラッグシップ大学とは
「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成を先導し、教員養成の在り方自体を変革していくための牽引(けんいん)役としての役割を果たす大学について、その申請に基づき、文部科学大臣が教員養成フラッグシップ大学として指定する仕組み
教員養成フラッグシップ大学に指定されると
教員養成フラッグシップ大学に指定された大学は、教育職員免許法施行規則等に定める一部の科目に代えて新たな科目を開設し、免許を取得することができる特例措置が適用されます。
この制度を活用し、優れた研究・人材育成拠点として全国的な教員養成の高度化に貢献することが求められます。指定大学には、新たな社会の到来を見据え、教育現場や教育行政、NPO や企業、関連分野の学問研究において優れた業績や実績を有する他大学や研究機関等と緊密に連携しつつ、新しいプログラムを研究・開発するなどの先導的・革新的な取組を行うとともに、取組から得られた知見を他の教員養成大学や教職課程を有する大学に展開し、我が国の教員養成の在り方を変革していく牽引役となることを期待します。
教員養成フラッグシップ大学に指定されている大学は
現在、教員養成フラッグシップ大学として次の4大学が指定されています。
教員養成フラッグシップ大学の教員就職率
文部科学省は、小・中・高等学校等の教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部の教員養成課程を卒業した者及び国私立の教職大学院を修了した者を対象として、同年9月末現在の就職状況について、毎年度、調査をし、その結果を公表しています。
教員養成フラッグシップ大学の教員就職率(進学者・保育士就職者を母数から除く)を、この文部科学省が公表しているデータで見てみます。
教員養成大学・学部
東京学芸大学:R6.3月卒業 65.9%、R5.3月卒業 61.7%、R4.3月卒業 63.3%
福井大学 :R6.3月卒業 71.7%、R5.3月卒業 61.7%、R4.3月卒業 64.8%
大阪教育大学:R6.3月卒業 66.9%、R6.3月卒業 74.4%、R4.3月卒業 72.6%
兵庫教育大学:R6.3月卒業 81.3%、R6.3月卒業 81.1%、R4.3月卒業 82.0%
全国平均 :R6.3月卒業 69.0%、R6.3月卒業 67.8%、R4.3月卒業 66.9%
教員養成大学・学部
東京学芸大学:R6.3月修了 88.7%、R5.3月修了 87.8%、R4.3月修了 91.6%
福井大学 :R6.3月修了 100%、R5.3月修了 81.3%、R4.3月修了 73.3%
大阪教育大学:R6.3月修了 92.7%、R5.3月修了 84.8%、R4.3月修了 83.9%
兵庫教育大学:R6.3月修了 77.6%、R5.3月修了 86.4%、R4.3月修了 81.1%
全国平均 :R6.3月修了 87.8%、R5.3月修了 90.4%、R4.3月修了 92.3%
教員養成フラッグシップ大学の指定期間と評価
教員養成フラッグシップ大学は、その指定期間を1つの区切りとして5年間設けており、その間の成果によって今後の継続が決定されます。
その成果の評価は、3年目、5年目に行われます。
3年目評価の実施要領案が、R6.2月28日の「教員養成フラッグシップ大学推進委員会」で示されました。
この評価の中で、教員就職率の推移がどのように評価されるかが気になります。
多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(諮問)
R6.12月25日の中央教育審議会で、「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について」が諮問されました。
この中で、社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方についても、以下のとおり含まれています。
第一に、社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方についてであります。 社会の変化や学習環境の進化に伴う新たな学びの実装の進展、今後検討が行われる学習指導要領の改訂、さらには心理・福祉をはじめとした生徒指導上必要となる知見の重要性も踏まえ、我が国の教師養成の中核を担う大学の教職課程がその役割を果たし続けていくために、教職課程の学修内容や学修方法がどのようにあるべきか、教員養成フラッグシップ大学の取組も勘案しつつ、今後の教職課程の在り方について御検討をお願いします。 その際、教職課程を置く大学等に所属する学生の声も踏まえて、より多くの学生が教員免許の取得を目指したり、教職生涯を通じて能力向上への意欲を喚起したりするような教員免許制度の在り方についても併せて御検討をお願いします。 また、教員養成を担う各地の教員養成系大学・学部等が、教育委員会との連携を深め、地域に求められる教師人材の確保につなげるために必要な取組についても御検討をお願いします。 加えて、それぞれの地域において、少子化が進む中でも、学校教育に不可欠な教師人材を安定的に輩出するために必要な教職課程が大学において継続的に開設、実施で きるようにするための方策についても御検討をお願いします。
教職課程の見直しに当たり、教員養成フラッグシップ大学の取組を勘案することが示されており、このことは教員養成フラッグシップ大学の目的に合致したものです。
ただ、教員養成フラッグシップ制度が始まり、まだ3年目が終わる段階で、学部教育については完成年度を迎えていません。この段階でどのように成果を把握・評価するのか注視したいと思います。