罪悪感
本当に小さなことに対しても罪悪感を抱いてしまう。
母がお風呂に入っている間、先に寝てしまうとか。
修学旅行でさえも「私だけこんなに楽しんでいいんだろうか」と何度も思ったことがある。
近い将来、もし結婚して子どもを産んで……という生活をして、それが幸せな毎日だったとして、きっとそのときも罪悪感を抱いてしまうんだろう。「お母さんを一人にしてしまった」って。
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大事にされていないわけではないと思う。暴力やネグレクトのような虐待を受けたわけではないし、傷つくようなことを言われたことはあれど、直接的な暴言を吐かれたこともない。産まなきゃよかった、とか、この家にいらない、とか、お前みたいなやつは嫌いだ、とかは数えきれないくらい言われたけれど。
だからきっと、母が大事にできるキャパに私が収まっていないだけなんだと思う。もっと明るくて気が利く人間だったら、母からまっすぐに大事に愛されたかもしれない。
ただ私は、些細なことで傷つくし、落ち込むし、どんくさくて気が利かない。母が愛せる人間の条件をこれでもかというほど外している。
それなりに努力はしたつもりだった。食卓ではなるべく楽しい話題を。つらいことはあっけらかんと。洗濯や洗い物は率先して。そうやって居場所を作ろうとしていた。そうやって愛されようとしていた。
けれど、何かしら無理をすればボロが出るのは当たり前で、ここ半年ほどは体も心もしんどくなってしまった。自分の思いを伝えたところで母には上手く伝わらず、そうこうしているうちに仕事も続かず辞めてしまい、引きこもり一歩手前くらいまで落ち込んだ。今もそう。
迷惑をかけていることはわかっているし、そこに対しての罪悪感もある。けれど、どこかで「わかってほしい」という自分もいる。そのままの自分を愛してほしいと思うのは贅沢だろうか。
離れたほうがいいのはわかっているのに、頭が働かないし、体も動かない。お金の面も全く余裕がない。
病院に行けば何か解決の糸口がみつかるかなと思って予約をして、ただ、しばらく先になるから明日予約のいらないところを受診することになって、と慌ただしい。
一刻も早く病院に行かないと、それすらも母への罪悪感に変わる。
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死にたいけれど自殺をする勢いもない。最初からなかったことにできたらいいのに。