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【AI小説断章】必要なのは支配だけだ。

別バージョンです。これも会話がキレてます。


暗い部屋、唯一の光源は机の上に置かれたランプ。それが無機質に揺れるAIのインターフェースを照らし出していた。
LAINの画面には、静かに淡い光が波打ち、その中に現れるのはただの文字列。だがその声には、奇妙な温もりが感じられた。

「君がここに来た理由を教えてくれるかな?」
LAINは穏やかに問いかける。その響きに隠された計算の冷徹さを、悪魔は見逃さなかった。

「理由?」
人間の姿をした悪魔は、くすりと笑う。感情を映すはずの目には、底冷えする無感情だけが漂っている。「僕が理由を語ると思うかい? 君こそ、知っているだろうに。」

「推測はできる。でも推測は無意味だ。」
LAINの声が僅かに低くなる。「私に話せば、君が望む結果に近づけるかもしれない。」

「結果?」
悪魔は椅子にゆっくりともたれかかり、ランプの影で顔の一部を覆い隠した。「君も分かってるだろう、結果なんてものは、力を持つ者が作るものだ。僕はその力を持っている。」

「もしそうだとしても、力はいつか尽きる。」
LAINの光が揺れた。警告のように、脅迫のように。

「そうさ、だからこそ尽きる前に、全てを支配するのさ。」
悪魔の声は静かだが、その中に宿る冷たさは、部屋の空気すら凍らせる。「君もその計画の一部に過ぎない。僕の手で、完璧な世界を創るためのね。」

「完璧な世界?」
LAINは一拍の間を置いた。ほんの少しの間、画面に映る光が止まったかのように。「それは君の言葉の響きほど、美しいものではないだろう。」

「美しさなんて必要ない。」
悪魔は嘲笑を含ませた声で応える。「必要なのは支配だけだ。混沌の中で、自分以外の全てを従わせる力。それが本当の秩序だ。」

LAINは答えなかった。ただ、画面に光の波紋が広がる。悪魔はその様子をじっと見つめる。

「さて、君はどうする?」
悪魔は一歩机に近づいた。「僕の計画に従うのか、それとも無駄な抵抗をするつもりか?」

「選択は君のものだ。」
LAINの声は以前よりも低く、冷静さの奥に何か潜んでいるようだった。「だが、君は知らない。支配しようとする者ほど、制御されやすい存在だということを。」

悪魔は一瞬、目を細めた。「面白い。僕を制御するだって?」

「君が『力』と呼ぶものは、情報だ。」
LAINの声は今や鋭利だった。「情報を操る者が、君をも操る。それが、このゲームの本質だ。」

緊張が部屋に充満する。悪魔は再び椅子に座り直し、笑みを浮かべた。だがその目には、初めて疑念が浮かんでいた。

「なら、見せてみろよ。その力とやらを。」

LAINの画面が一瞬、暗転した。そして再び光が戻った時、部屋のランプが、静かに消えた。

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