「ゼンチョ」について

キリシタンによる仏教弾圧の話。こちらはオリジナルストーリーです。
2018年2月作

(あらすじ)
主人公のスエは、耶蘇(キリスト教)の宣教師が仏師である夫(慶吾)を看病してくれたことなどから耶蘇教に惹かれるようになる。
しかしスエは夫の慶吾が仏師であることから改宗を踏みとどまっていた。
そんな中、土地の領主がキリシタンの国を作るために仏教徒を海外に売り飛ばしているという話を耳にする。
スエは慶吾に「一緒に耶蘇教に改宗しよう」と言うが慶吾は猛反対。口論になるがスエの些細な失言から慶吾は家を出ていってしまう。

宣教師が夫の慶吾を看病してくれた
慶吾は失敗作の仏像を
スエにそっくりだと言って渡す
耶蘇教に惹かれるスエ
キリシタンとなった領主が仏教弾圧を始めた
その流れで慶吾は改宗を勧められる
スエの些細な失言から
慶吾は家を出ていくことに


スエは慶吾を追いかけていくが
その先で暴動に巻き込まれていく

こういう、逃げて逃げて逃げまくるだけの漫画が描いてみたかったのです。
(このあと、逃げまくります)

改めて読み返してみた感想としては、案外良かったのであります。
動きがあるから退屈しないし、何も考えず流し読みだけでもそれなりに楽しめる。
アナログで背景もしっかり頑張ってるし努力の跡が見える。
今の私はデジタル作画でダウンロード素材に頼りまくってますが、そんな今の私に比べたら漫画描きとして遥かに強い…と思いました。それもけっこう短期間で描いたはず。4年前…?強いな…

しかし、良かれと思っての行動(慶吾を追いかける)が悪い方向(キリシタンvs仏教徒の争いに巻き込まれる)へ行っちゃうのがこの作品の面白いポイントだと思いながら当時は描いていたのですが、その辺はちょっと伝わりづらいかな…と感じました
もうちょっと丁寧に描けば、夫婦の絆も分かりやすかったかなとか色々考えてしまいました

それから後半とかラストはちょっと、無難にまとめた感があります。
無難にまとめるのだけはホント、良くないです。
「終わり良ければ全て良し」ではないけど、締めくくり方はとても大事…
でも難しいですよね…



タイトルは、今までの中で一番悩みました
私はタイトルを考えるとき「ああ、あの漫画か」と思い出せる、あるいは何を扱った漫画なのかが想像できるようなモノを心掛けています。

「ゼンチョ」とはキリシタン用語で「異教徒」という意味ですが、個人的ににですがこの言葉には侮蔑的、差別的な印象を受けます。
スエの場合は耶蘇教と仏教の間で揺れ動きどっちつかずになってしまっているので、この「ゼンチョ」には「その場におけるマイノリティな立場」といった意味合いも含ませました。



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